2001 Fiscal Year Annual Research Report
患者個々に対応するCADおよび有限要素法を用いた義歯の3次元構造設計
Project/Area Number |
12771176
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉備 政仁 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50294111)
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Keywords | 部分床義歯 / 設計 / CAD / 有限要素法 / 三次元形態計測 |
Research Abstract |
本研究は,患者個々の形態,機能に適応した義歯を製作するために,患者ごとに義歯製作前に義歯の動きや義歯及び生体に発生する応力を解析できるシステムすなわち義歯設計のシミュレータを構築することを大目的としている. 昨年度は,遊離端欠損部顎堤形態およびレスト位置を三次元計測器にて点群データとして取り込み,データの取り込み精度の測定,顎堤におけるアンダーカット部を再現するための2群データの重ね合わせ,適切な点群データ数の決定,CADソフトヘのDXF形式での取り込みを試み,さらにその精度について検討した. 本年度は,このデータをもとに,部分床義歯の構成要素として人工歯と義歯床を,患者固有の形態として顎堤を,それぞれ,点群データからサーフェイスモデルおよびソリツドモデルに構築することに成功した.このような自由局面を含むモデル構築は過去に報告はなく,上記の大目的に対する基礎的な手法の確立が行い得たと考えられる. また,それぞれのソリッドモデルをパーツとして捕らえ,人工歯は歯種ごとに,また顎堤は患者ごとにライブラリを作製するとともに,CADソフト上でアセンブリとして各パーツを配置することが可能となり,コンピュータ上での義歯設計手法が確立し得た. さらに,完成したアセンブリ(患者個々の顎堤と人工歯および義歯床の複合体)を有限要素法によるシミュレーションソフトに取り込み,応力,変位解析が可能となった. これらの成果は、患者個々に異なる口腔内の形態に適合した義歯設計のためのシミュレーションが行い得ることを意味し、今後更なる精度向上によって患者ごとに最も適合した義歯の製作ができる可能性が示された.今後の課題としては支台装置,連結装置の設計,支台歯の動揺度,粘膜の厚み,咀嚼運動などをモデルに反映し,より精度よく解析が行えるより研究を進める必要があると考えられる.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 吉備 政仁, 権田 知也, 奥野 幾久, 藤原 啓, 福井 友, 竹村 有史, 小野 高裕, 野首 孝祠: "患者個々に対応可能な義歯設計システム-顎堤,人工歯,義歯床のモデル化と応力解析-"日本補綴歯科学会雑誌. 45・106回特別. 94 (2001)