2000 Fiscal Year Annual Research Report
骨補填用リン酸カルシウム系セメントの開発に関する基礎的研究
Project/Area Number |
12771194
|
Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
日比野 靖 明海大学, 歯学部, 講師 (20238322)
|
Keywords | 骨補填材 / リン酸カルシウム / 機械的性質 / TCA回路 |
Research Abstract |
本年度は粉末としてリン酸三カルシウム(α-TCP)のみを使用することとした.本年度の実験計画のように各種カルボン酸(濃度10,20,30ならびに40wt%水溶液)と練和を行い,硬化体がセメントとしての操作性を有するか確認を行った.!練和開始後30分の時点で硬化しないもの,"練和途中に硬化するものを硬化体形成不可能あるいは操作性不良なものと分類した.この時点で硬化体を形成するα-TCPならびに練和液の組み合わせについて硬化時間,圧縮強さならびに崩壊率の測定を行った.その結果,適度の操作性を有しかつ硬化体の形成が可能であったのは30,40wt%リンゴ酸と20,30,40wt%クエン酸,40wt%オキサロ酢酸,30wt%コハク酸ならびに40wt%cis-アコニット酸を用いた場合であり,用いたカルボン酸の種類による特定の規則的な影響は確認されなかった.硬化体の硬化時間に関しては,リンゴ酸ならびにクエン酸では水溶液の濃度の増加に伴い有意に硬化時間が短くなる結果を示した.また,粉液比の増加は硬化時間を有意に短くさせた.硬化体の圧縮強さでは,練和液に30wt%コハク酸を用いた試料については蒸留水浸漬中に試料が崩壊し圧縮強さを測定することが不可能であった.30wt%リンゴ酸ならびに20,30wt%クエン酸水溶液では粉液比の違いによる有意な差は認められなかったが,40wt%リンゴ酸ならびにクエン酸水溶液を用いた場合では粉液比の増加により有意に強さを増大させた.以上のことから,従来から報告されている以外のTCA回路内の酸を使用してもリン酸カルシウムセメント硬化体が得られることが明らかになった.次に,骨補填材への応用を検討する場合に,X線造影性の付与が必要不可欠となる.α-TCP粉末にX線造影性のある同系統の粉末を添加することにより硬化時間が延長し,操作時間を確保できることが明らかになった.
|