2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12771201
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
井野 智 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (80257295)
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Keywords | 接着歯学 / コンポジットレジン / ジルコニア・セラミックス / 剪断接着強さ |
Research Abstract |
本研究の目的は、審美性や金属アレルギーの問題から、メタルフリーの次世代対応型歯冠色材料(コンポジットレジン・セラミックス)の機械的性質を利用し、新規補綴装置の開発を行うことにある。 まず、光重合型コンポジットレジンの加熱処理が機械的性質に及ぼす影響を調べたところ、110℃で10分間加熱することで、曲げ応力及び弾性率が加熱重合処理をしないものに比べ、有意に向上することがわかった。さらに、加熱処理を加えたことによるコンポジットレジンの接着反応性への影響を調べたところ、剪断接着強度において、コンポジットレジン系セメントでは有意に低下したが、PMMA-MMA系セメントでは有意差がなかった。そこで、レジン系セメントの選択に対する考え方として、いわゆる化学的な接着反応性だけでなく、接着界面における機械的性質も重要であると考えられた。すなわち、セメントの被膜厚さが薄ければ、各種被着体(歯・レジン・セラミックス等)の粘弾性による影響を受けやすく、逆に、被膜厚さが厚ければ、セメントの粘弾性による影響を受けやすいと考察した。 また、高い圧縮強度を持つジルコニア・セラミックスと、生体に調和した摩耗性を有するハイブリッド型コンポジットレジンに着自し、コンポジット前装セラミッククラウン・ブリッジの開発を行った。ジルコニア・セラミックスとコンポジットレジンの接着界面処理に、シリカ・コーティング法を応用することで十分な接着強度を得ることがわかった。特に、臼歯部用ブリッジの臨床評価から、この新しい構造のクラウン・ブリッジの臨床的特色として、以下の結論を得た。 (1)前装用陶材を築盛しないので、繰り返し焼成によるコア用セラミックスの強度的劣化が生じない。 (2)適度な生理的咬耗を許容し、顎関節や歯周組織に機械的為害作用を加えず、生体に調和した機能的咬合面の修復・維持が容易である。 (3)接着システムによる補綴装置の補強効果・辺縁封鎖性を向上させ、歯質・接着性レジンセメント・補綴装置の物理・化学的な一体化が向上する。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 浜野奈穂, 渥美美穂子, 小飯田武広, 井野 智, 他5名: "コンポジットレジン前装セラミッククラウンの破壊性状 第7報 曲げ強さ"日本補綴歯科学会雑誌. 45巻特別号. 156-156 (2001)
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[Publications] S.Ino, M.Atsumi, N.Hamano, et al.: "Bond Strength of Composite Resin to Zirconia Ceramics"Journal of Dental Research. 80巻特別号. 705-705 (2001)
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[Publications] 田村年彦, 井野 智, 豊田 實: "重合処理条件が硬質レジンの機械的性質に及ぼす影響について"日本補綴歯科学会西関東支部学術大会講演内容抄録集. 特別号. 12-12 (2002)