2001 Fiscal Year Annual Research Report
無血清培地で作成したヒト培養複合口腔粘膜が移植後創傷治癒に及ぼす影響の研究
Project/Area Number |
12771216
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
泉 健次 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (80242436)
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Keywords | ティッシュエンジニアリング / 細胞培養 / 角化細胞 / 真皮 / 創傷治癒 / 血管新生 / 再生医療 / 成長因子 |
Research Abstract |
平成12年の秋に新潟大学歯学部の倫理委員会でヒト培養複合口腔粘膜の臨床応用についての認可を得、それ以降平成14年の初めまでに、計19例の培養複合口腔粘膜移植を行った。特筆するべきことは、平成13年の秋より、それまで培地に加えていたウシ下垂体抽出物をブタのそれに代替することに成功し、現在ではいわゆる狂牛病(BSE)感染の危険性の全くない培養システムで運営している。口腔内移植後の培養複合口腔粘膜の創傷治癒はいずれの症例でも非常に良好に進み、副作用等の異常所見は全く観察されていない。移植後創傷治癒の検索には、19例の培養複合口腔粘膜移植群の他に、培養粘膜作成に用いている無細胞性ヒト新鮮屍体真皮であるAlloDerm【○!R】単独移植群も設定し、術後に1回のみ採取が許された創部組織の生検の病理組織像により、結局HE染色のみになってしまったが、この2群間を比較することで予想以上のところまで解明できたと考えている。すなわちいずれの群も基本的に術後は炎症を伴った肉芽組織の像を呈するものの、培養複合粘膜移植群ではAlloDerm【○!R】単独移植群に比して、術後2週ではほとんど組織像に差がなかったが、術後4週では明らかに組織の修復がすみやかに行われ、著明に認められていた炎症性細胞浸潤は減少し器質化が進んでいた。同時に肉眼的観察でも、創の上皮化が明らかに早く完了していた。この結果から、培養口腔粘膜角化細胞から何らかのサイトカインなどが分泌されることで、創傷治癒に効果的な影響を及ぼしていると考察した。この情報は、再生医療の分野で日本が世界に発信できるに十分価値のあるものといえよう。もちろんまだまだ、解明の足りない部分は多く残されているが、それは今後の課題である。
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[Publications] Izumi K: "Clinical Application of a TissueEngineered Ex Vivo-Produced Oral Mucosal Equivalent : A Preliminary Report"J Oral & Maxillofac Surg. 59(8). 23-24 (2001)
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[Publications] 泉健次: "培養粘膜の臨床応用,-培養複合口腔粘膜の口腔内移植-"ザ・クインテッセンス. 20(6). 1057-1064 (2001)
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[Publications] Izumi K: "Skin and oral mucosal substitutes. In "Oral and Maxillofacial Clinics of North America""BuCkley MJ, Keller JC. W.B. SAUNDERS, PA, USA (in press). (2002)