2001 Fiscal Year Annual Research Report
摂食・嚥下機能障害回復過程での中枢における代償性変化に関する研究
Project/Area Number |
12771242
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
渡邊 裕 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (30297361)
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Keywords | 摂食・嚥下機能 / 中枢制御機構 / 脳磁図計 / 運動関連脳磁場計測 / 随意運動 |
Research Abstract |
嚥下機能は通常延髄における反射が主体をなすものの、各種の障害によりその機能が低下すると、その回復過程において随意的な嚥下訓練を行うことが肝要となる。よって随意的な嚥下運動の中枢制御機構を解明することは重要である。そこで、随意運動の中枢制御機構を検索するため、片側の単純な中指の伸展運動と両側性で多数の筋が協調する嚥下運動時の脳磁場計測を行った。 研究方法:右利きの健康成人7名を被験者とした。計測は306チャンネル全頭型脳磁図計を用いた。脳磁場の加算はそれぞれ30回以上とし、加算の基準は運動関連筋の筋電積分波形の立ち上がりとした。データは運動開始前の2500msから開始後の500msまでを検証し、電流双極子モデルの適合度(GOF)が75%以上のものについて等価電流双極子の位置をMRI画像上に適合させた。 研究の評価および考察:嚥下運動開始前の2000ms前後で帯状回、補足運動野のいずれかの活動が推定された。この後、2000msから1300msの間に左側の前頭回の活動が推定された。島の活動については時間的局在は認められず全時間帯で活動が推定された。しかし、中指の伸展運動では等価電流双極子の推定は行えなかった。 研究の評価および考察:fMRIによる嚥下関連の大脳皮質活動部位の研究では、島、帯状回、前頭前野などに活動がみられたとの報告がある。fMRIはその性質上活動部位の時間経過を検索することはできないが、今回我々が得た結果はこれとほぼ同様の結果を示し、なお時間経過も検索されていることから有効なものと思われた。指の伸展運動に関して運動準備期の活動源推定が行えないことは、単純な運動のため、複雑な中枢制御が不要であるためとも考えられるが、計測方法の問題も否定できない。今後より随意性を要求される、指の巧緻運動などの計測を行う必要があると思われた。
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