2000 Fiscal Year Annual Research Report
口腔前癌病変および扁平上皮癌におけるサイトケラチン19遺伝子の変異
Project/Area Number |
12771259
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
大西 祐一 大阪歯科大学, 歯学部, 助手 (70322568)
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Keywords | 口腔前癌病変 / 口腔扁平上皮癌 / サイトケラチン / サイトケラチン19 |
Research Abstract |
1.対象症例:前癌病変として舌および口底粘膜の紅板症2例、そして扁平上皮癌7例、また対照として健常歯肉5例を用いた。健常歯肉は下顎埋伏智歯抜歯の際に、臨床的に同部の炎症を認めない歯肉を切除したものを用いた。紅板症は切除標本のうち明らかに赤色病変を認める部分を、また扁平上皮癌は生検標本で腫瘍の部分を切り出して用いた。 2.CK19mRNAのRT-PCR法による発現:標本をホモジナイザーにて粉砕し、total RNAを抽出した。次いで各RNA1μgを用い、これにoligo(dT)をプライマーとして、Molony murine leukemia virus由来の逆転写酵素で37℃、1時間の逆転写反応を行いcDNAを作製した。このcDNAの1/20量について、ヒトCK19cDNAの塩基配列を元に合成したプライマーを用いてPCRを行った。紅板症においてCK19mRNAは明らかな発現が認められた。また、健常歯肉では5例ともわずかな発現が認められ、扁平上皮癌では全例強い発現が認められた。これはこれまでの報告とほぼ同じ結果であり、CK19mRNAの発現は上皮異形成および癌化と関連性があるものと思われた。 3.SSCP法によるCK19遺伝子の変異について:ORITAらの方法に準じて行ったPCR反応液を緩衝液(0.1%SDS,10mM EDTA)で希釈し、色素液(90%ホルムアルデヒド,10mM NaOH,1mM EDTA,0.02%ブノルフェノルブルー、キシレンシアノール)と混和した。試料は85℃で5分間加熱変性後、氷上にて急冷し、8%ポリアクリルアミドゲルにて、30W5時間25℃の条件で電気泳動を行いゲルが乾燥後、オートラジオグラフィーを行った。健常歯肉5例および紅板症2例においては、CK19遺伝子の変異は認められなかった。そして扁平上皮癌7例では、2例で変異がみられたが、その他5例では変異は認められなかった。 今後SSCP法にて変異の認められた扁平上皮癌2例の塩基配列を解読し変異の有無および種類を探索する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 稲葉裕明: "上皮増殖因子が口腔扁平上皮癌細胞株のサイトケラチン19mRNAに及ぼす影響"歯科医学. 63. 250-254 (2000)
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[Publications] Hiroaki I: "Keratin 19 in benign ameloblastoma and malignant ameloblastoma Immunohisto chemistry, reverse transcription-polymerase chain reation and Northem blot analysis"Journal of Hard Tissue Biology. 9. 41-46 (2000)