2000 Fiscal Year Annual Research Report
小児歯科臨床におけるART法の行動科学的,細菌学的検討
Project/Area Number |
12771278
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
壺内 智郎 岡山大学, 歯学部・附属病院, 助手 (80243484)
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Keywords | ART法 / 行動科学 / グラスアイオノマーセメント |
Research Abstract |
本研究では,WHOが提唱した新しい齲蝕治療の概念である非侵襲的修復治療法(ART法)の小児歯科臨床における有用性について行動科学的および細菌学的観点から検討することを目的とした。 平成12年度は,岡山大学歯学部附属病院小児歯科外来において,本研究の主旨に保護者の同意が得られた2〜6歳児32人(平均年齢4歳2か月)を対象とした。対象条件は,上顎前歯部のいずれかに齲蝕を有する患児とし,被検歯は齲蝕象牙質の色,冷・温水痛,打診痛などの臨床症状より比較的深い齲蝕を有するが歯髄が健全と診断され,何らかの充填処置が必要とされたものとした。方法は,処置前に歯科不安に関するアンケートの回答を保護者に依頼し,回答後処置を開始した。充填処置はART法に準じて行った。すなわち手用切削器具を用い,軟化象牙質を可及的に除去した後,光重合型グラスアイオノマーセメントにて充填した。結果,対象者全体の口腔内状態は一人平均齲蝕経験歯数は6.8本,細菌学的齲蝕活動性試験カリオスタットでのハイリスク者の割合は56%であった。診療台上での治療時間は,5分から20分までで平均12.3分であった。治療器具の使用に関して行動学的に何らかの問題が認められたのは,3ウェイシリンジで39%,コントラで65%,タービンで84%と,刺激量が大きくなるほどその割合も増加していた。診療中の行動評価は,協力的な児が22%,緊張行動を示した児が34%,診療に対し非協力的で阻害行動を示した児が44%であった。行動評価別に治療時間を比較すると,各群間に統計的に有意な差は認めなかった。すなわち本ART法を適用することにより行動学的に問題のある児に対してでも,簡潔な齲蝕治療が可能であることが示された。引き続き平成13年度には,充填物の予後の検討ならびに細菌学的検討を行う予定である。
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