2001 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原性細菌のヒト冠状動脈内皮細胞に対する病原性機構の解明
Project/Area Number |
12771295
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
小林 美智代 北海道医療大学, 歯学部・口腔衛生学, 助手 (80316265)
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Keywords | Porphyromonas gingivalis / chemokines / protease / endothelial cells |
Research Abstract |
近年、疫学的見地から歯周病と冠動脈疾患との関連が報告されているが、そのメカニズムは不明である。申請者はPorphyromonas gingivalis (P. gingivalis) が冠動脈疾患の原因となる血管病変の生成に関与しているのではないかと考え、ヒト冠状動脈血管内皮細胞(HCAEC)およびヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)を用いて、血管病変のプラーク部位で発現の亢進が報告されているinterleukin-8(IL-8)およびmonocyte chemotactic protein(MCP-1)について検討を行った。IL-8およびMCP-1は白血球走化性を有するケモカインである。HUVECおよびHCAECの培養上清中にP. gingivalisを添加し培養した後、培養上清中に含まれるケモカイン量を測定した。その結果、添加する菌数に依存して、IL-8およびMCP-1量は減少した。次にRT-PCRを用いてmRNA発現量を検討した。P. gingivalis添加群と非添加群とを比較すると、IL-8、MCP-1ともに添加群のほうがより強い発現が認められた。さらに、プロテアーゼ阻害剤であるTLCKの添加により両ケモカインの分解は抑制された。同細菌の培養上清をHUVECの培養上清に添加し2時間培養したのち上清中の両ケモカインの量を測定した。本細菌の培養上清非添加群と比較するとIL-8は10倍、MCP-1は20倍の誘導が認められた。以上のことは、P.gingivalisが感染局所においてプラークの生成に重要な役割を果たすケモカインの発現を誘導するにも関わらず、自身のプロテアーゼにより両ケモカインを分解し白血球による菌の排除を免れている可能性を示唆している。
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