2001 Fiscal Year Annual Research Report
ラット臼歯への矯正力負荷による歯根吸収:負荷の閾値と歯質吸収活性の時間的変動
Project/Area Number |
12771306
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
柳下 寿郎 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (50256989)
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Keywords | 歯の矯正移動 / ラット臼歯 / 近心移動 / 応力ストレス / 歯槽骨改造 / 破骨細胞 / 破歯細胞 / 歯根吸収 |
Research Abstract |
歯科矯正臨床においては、歯の移動に伴う歯根吸収の防止が求められているが、現在までのところ、その発症を予知しうるに十分な科学的な知見は得られていない。本研究では、ラット臼歯を実験モデルとして、第一臼歯の近心移動に伴う歯根吸収の発症機序を細胞・分子レベルでの解明を目的とした。本年度においては、雄性SD系ラット(200g体重)を使用して、歯根吸収の引き金となる矯正力刺激の閾値が初期荷重量と負荷時間の積分値によって規定しうるとの作業仮説を検証した。初期負荷量を20g、40g、60g、臼歯近心移動モデルにおいて、負荷期間をパラメターとした実験を実施した。破骨細胞および破歯細胞の分化と活性化(その消退)を追跡する目的で、免疫組織化学(細胞同定のためのED1、ED2、炭酸脱水酵素、RANK、RNKL、cF0S、骨関連細胞の分化マーカーとしてI型コラーゲン、オステオカルシン)と酵素組織化学(TRAP/ALPの二重染色)を実施した。その結果から、今回のラット臼歯モデルにおいては、短期間の矯正力負荷量(1時間から1日)によっても、圧迫側の歯根表面では遅延性(準備・潜伏期間として3-4日間)に吸収窩が発生し、破歯細胞の出現時期と局所組織空間では、RANK陽性細胞とRNKL陽性細胞が共存することと、破歯細胞の接着した歯根表面ではオステオカルシン局在を確かめた。また、歯槽骨の骨細胞ではcF0S発現(免疫組織化学)が認められ、矯正力の受容と伝播に転写因子が関与することが示唆された。成立した歯質吸収窩では、酒石酸耐性酸性フォスファターゼ陽性細胞数の変動を指標とした吸収活性の増強と減衰、アルカリフォスファターゼの発現と硬組織添加を指標とした修復応答を調べた。なお、本年度においてエックス線マイクロCT装置の利用が可能となり、矯正力負荷による歯槽骨改造と歯根吸収の発症について3次元観察を開始している。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 柳下寿郎, 他: "矯正学的な歯の移動と組織応答:歯槽骨改造と歯根吸収"日本成人矯正歯科学会誌. 8・2. 33-38 (2001)
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[Publications] 安藤文人, 他: "歯の矯正学的移動と歯槽骨改造:メカニカルストレスの理解・応用・最適化に向けて"矯正臨床ジャーナル. 17・12. 35-43 (2001)
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[Publications] 高橋俊裕, 他: "口腔内環境下における再石灰化機構に関する研究:第2リン酸カルシウム塩の熱力学的安定さと転化反応"日歯保存誌. 44・4. 668-683 (2001)
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[Publications] 大久保 悟, 他: "口腔内環境下における再石灰化機構に関する研究:リン酸オクタカルシウム塩とその加水分解産物"日歯保存誌. 44・3. 521-536 (2001)
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[Publications] Yagishita H, et al.: "The secretion of amelogenins is associated with the induction of enamel and dentinoid in an ameloblastic fibro-odontoma"J Oral Pathol Med.. 30. 499-503 (2001)