ガラス繊維強化型のフッ素徐放性を有するレジンスプリント材に関する研究

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12771319
• Research Institution: Fukuoka Dental College
• Principal Investigator: 石田 万喜子 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (10289572)
• Keywords: 外傷 / 固定 / FRP / 光重合レジン / レジンスプリント / フッ素徐放性

Research Abstract

ウレタン系ジメタクリレートをベースとするレジンモノマーにメタクリレートポリマー粉末と,シラン処理微粒子シリカを配合し,ガラス単繊維(直径9μm)を所定量充填して光重合型ベースレジンを調製した。このベースレジンに,メタクリル酸メチルとメタクリル酸フルオライドの共重合体からなるフッ素樹脂(PMF20及びPMF40、PMF60)を所定量溶解し,フッ素徐放性のレジンスプリント材を調製した。
1.実験方法
1)レジンの重合:可視光線を所定時間照射し,レジンを重合した。
2)曲げ試験:ベースレジンにガラス単繊維を5.9,11.7,17.6wt%配合しガラス繊維強化レジンスプリント材を調製し2×2×30mmの試験片を作製した。この試験片を37℃蒸留水中に1及び30日間浸漬し曲げ試験を行った。
3)フッ素徐放量の測定:PMF20及びPMF40、PMF60を各々0,10,20%配合したレジンスプリント材を調製し,10×10×1mmの板状試験片作製し,37℃の蒸留水5ml中に浸漬し1,2,3,7および14日後のフッ素溶出量をフッ素イオンメーターを用いて測定した。
2.結果および考察
1.レジンスプリント材にガラス繊維を配合すると,その配合量の増加に伴って機械的性質は上昇した。また,その機械的性質は水中浸漬によって大きく減少することはなかった。
2.フッ素樹脂を添加しても機械的性質の大きな低下なく,フッ素イオン徐放性を付与することができた。
3.フッ素イオンの徐放量は,PMF60を20%配合した場合が最も多く,また徐放量は1日目が最も多く,以後1週間まで急激に減少した後ほぼ一定となった。しかし、PMF60についてはレジンの可塑性が高く、操作性が悪いことから臨床での使用は困難であると思われた。そこで、来年度はPMFにフッ化ナトリウムを添加した場合の諸物性についても検討する。