2000 Fiscal Year Annual Research Report
ニコチンによる歯周組織破壊のメカニズムの解明-特にアポトーシスの誘導に及ぼす影響
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12771338
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
菅野 直之 日本大学, 歯学部, 助手 (30246904)
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Keywords | ニコチン / アポトーシス / ネクローシス / DNA断片化 / シトクロムc |
Research Abstract |
喫煙は感染症の症状を増悪させることが知られている。口腔領域において喫煙は,歯周病による組織破壊を進行させるほか,急性壊死性潰瘍性歯肉炎の危険因子であると考えられている。本研究では喫煙が炎症による組織破壊の進行にどのような形で関与しているかを検索する目的で,タバコの主要な成分であるニコチンが単球のアポトーシス誘導にどの様な影響を与えるかU937細胞を用いて検討した。 H_2O_2により誘導されるU937細胞のアポトーシスに与えるニコチンの影響について,細胞生存率,クロマチン凝縮の有無,DNAの断片化,カスペース活性,細胞内ATP量を測定した。 H_2O_2により細胞の生存率は低下し,アポトーシスの特徴であるクロマチン凝縮,DNAの断片化,カスペース活性が誘導された。ニコチンで細胞を前処理した後,H_2O_2を加えると,細胞の生存率の低下に変化はなかったが,クロマチン凝縮,DNAの断片化,カスペース活性は抑制され,アポトーシス細胞は減少し,ネクローシス細胞が増加した。また,ニコチンはアポトーシスの誘導に必須であると考えられている細胞内ATP量を低下させた。以上の結果よりニコチンが細胞内ATP量の低下とカスペース活性の抑制を介して,アポトーシスを抑制していることが示された。このニコチンのアポトーシスの抑制とそれに代わるネクローシス誘導の作用が炎症症状の増悪と組織破壊の進行に関与していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)