2000 Fiscal Year Annual Research Report
有機アンチモン化合物の分子内非結合性相互作用とその有機合成への応用
Project/Area Number |
12771370
|
Research Institution | Hokuriku University |
Principal Investigator |
安池 修之 北陸大学, 薬学部, 助手 (10230210)
|
Keywords | 有機アンチモン化合物 / 分子内非結合性相互作用 / 多核NMR / X線結晶構造解析 / 超原子価化合物 |
Research Abstract |
近年、重元素とN,O,Sなどのへテロ元素を持つ化合物群において非結合性相互作用を持つ化合物が数多く報告されはじめている。しかし、ヘテロ官能基を持つ有機アンチモン類は一般合成法をはじめとしてその相互作用についてはほとんど知られていない領域となっている。本課題ではへテロ元素-アンチモン間の相互作用の一般性の解明とその有機合成への応用を目的とし、平成12年度は対応する化合物群の一般合成法の開発と非結合性相互作用の解明を中心に検討を行い、以下のことを明らかとした。 N,O,S官能基を持つリチウム化合物とp-tol_2SbBrとの反応により対応する3価アンチモン化合物が系統的に得られることを見出した。得られた化合物群に塩化スルフリルを作用させると5価Sb化合物へと誘導することもできた。この簡便な合成法により鎖状3および5価Sb化合物を3系統10種合成することができた。得られた化合物群のX線結晶構造解析から10種とも2つのへテロ原子間距離がそれぞれのvan der Waals半径の和よりも小さくなり相互作用の存在が明らかとなった。また、その作用の強さは窒素の場合が最も強く、以下酸素、硫黄の順となること、3価よりも5価の方がより近づくことが判明した。さらに溶液状態での作用の有無を知る目的で、NMRを利用して詳細な解析を行った。その結果、N-Sb化合物の^<15>N-NMRから相互作用に基づくと考えられる低磁場シフト、^1H-^<13>C-HMBCよりN-Sb間を介した結合が存在することを明らかとした。一般にこの作用は重元素の持つ原子価拡張効果の発現によるものと考えられている。本年度の研究成果から新たに得られた化合物群にはへテロ原子とアンチモンとの間に結合が存在し、超原子価化合物であることを証明することができた。 平成13年度は本年度の成果をふまえ、相互作用に基づく新規な有機合成反応への応用を検討する予定である。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Tokunaga,T.,Seki,H.,Yasuike,S.,Ikoma,M Kurita,J.and Yamagichi,K.: "Direct detection of intramolecular Sb…N nonbonded interaction by ^1H-^<13>C and ^1H-^<15>N heteronuclear multiple bond correlation spectroscopy."Tetrahedron Lett.,. 41. 1031-1034 (2000)
-
[Publications] Yasuike,S.,Tsukada,S.,Kurita,J.,Tsuchiya,T.,Tsuda,Y.,Kiuchi,F.and Hosoi,S.: "Synthesis and structure of novel dibenzo[b,i]-1-oxa-6-heterocines containing Group 15 hevier elements."Heterocycles. 53. 525-528 (2000)
-
[Publications] Tokunaga,T.,Seki,H.,Yasuike,S.,Ikoma,M.Kurita,J.and Yamagichi,K.: "Confirmation and characterization of the hypervalent Sb…N bonding recognized in triarylstibanes bearing an amino side chain by X-ray, NMR and theoretical calculations."Tetrahedron. 56. 8833-8839 (2000)
-
[Publications] Yasuike,S.,Iida,T.,Yamaguchi,K.,Seki,H.and Kurita,J.: "Synthesis, molecular structure and fluxional behavior of (R)-7-p-tolyldinaphtho[2,1-b;1',2'-d] stibole : the first isolated example of optically active group 15 dinaphthoheterols."Tetrahedron Lett.,. 42. 441-444 (2001)