2001 Fiscal Year Annual Research Report
食塩感受性高血圧モデル動物における腎局所レニン-アンジオテンシン系の役割
Project/Area Number |
12771392
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉田 真 東北大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (90201011)
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Keywords | 高血圧 / 腎 / アンジオテンシン / Dahl食塩感受性ラット |
Research Abstract |
本研究課題による昨年度の成果として、食塩感受性高血圧症の実験動物モデルであるDahl salt-sensitive rat(Ds rat)を4週間高食塩食にて飼育したところ高血圧が発症し、その時血漿および組織中のangiotensin II濃度が上昇している事、また、このようなangiotensin IIの濃度の上昇は、低食塩食飼育時および食塩負荷をしても高血圧症を発症しないDahl salt-resistant rat(DR rat)を用いた場合には観察されないという結果を得、NOのangiotensin IIの産生抑制作用と食塩感受性高血圧症の発症に何らかの関連があると考えられた。 そこで、本年度はDS ratを血圧が過剰に上昇しない程度に5日間高食塩食にて飼育して、angiotensin IIの腎動脈内投与による腎機能パラメータに与える影響を検討した。麻酔下においてangiotensin IIの作用を比較した所、腎血流量・尿量および尿中Na排泄率の低下が、内因性一酸化窒素(NO)合成酵素阻害薬であるL-NAMEを投与した場合には投与しなかった場合に比べて増強していた。しかしDR ratでは、angiotensin IIの腎動脈内投与による腎機能パラメータに与える影響がL-NAME投与により影響を受けなかった。また、NOドナーであるNOC7を投与してangiotensin IIの腎動脈内投与による腎機能パラメータに与える影響を観察した所、DS ratではNOC7により腎血流量・尿量および尿中Na排泄率の低下が減弱したが、DR ratではそのような違いは観察されなかった。これらの結果から、食塩感受性高血圧症の発症には、NOがangiotensin IIの産生を抑制する作用と共にangiotensin IIの腎機能への影響を抑制する作用の両者が関連していると考えられる。
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