2000 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤性肝障害発現におけるシトクロムP450介在過程の同定
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12771394
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
桝渕 泰宏 千葉大学, 薬学部, 助教授 (10209455)
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Keywords | フェニトイン / カルバマゼピン / ジクロフェナック / 肝障害 / 特異体質 / 共有結合 / シトクロムP450 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
抗てんかん薬フェニトインやカルバマゼピン、ならびに非ステロイド系抗炎症薬ジクロフェナックが引き起こす特異体質性の肝障害発現メカニズムを明らかにするため、肝障害の引き金になると推定されている、これらの薬物の代謝的活性化と生体高分子への共有結合について、肝ミクロゾームを用いて検討した。ラット肝ミクロゾームをフェニトインと酸化的代謝反応条件下、インキュベートしたところ、僅かながらCYP2C6の不活性化を検出した。1次代謝物である4位水酸化体で同様の検討をしたところ、CYP2C6に加えてCYP2C11の不活性化を検出した。しかし、通常の4位水酸化体の生成量や得られた不活性化の程度を考慮すると活性代謝物の生成とCYPタンパクへの共有結合は問題となるほど多くないと推定できた。また、カルバマゼピンではCYP2D2に対して不活性化が認められたため、ヒト肝ミクロゾームにおいても同様の検討をしたところ、CYP2D6よりむしろCYP1A2に不活性化が検出された。このことからこれらのCYP酵素群には顕著な基質特異性の種差が存在すること、また臨床における毒性発現にはCYP1A2が何らかの役割を担っていることが示唆された。一方、ジクロフェナックを用いて同様の検討をした結果、CYP2C11の強力な不活性化が認められたが、ヒトでは対応する結果は得られていない。また、既に我々が毒性メカニズムの1つとして提唱してきたミトコンドリア電子伝達系に対する作用をラット単離ミトコンドリアを用いて、親薬物と主要代謝物である2つの水酸化体と比較したところ、親薬物のみに脱共役作用が認められた。このことはジクロフェナックにおいては特異体質の要因が薬物代謝酵素でなく、ミトコンドリア呼吸鎖あるいは他の内膜形成タンパクの多型性に基づいている可能性を示唆している。
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Research Products
(1 results)