2001 Fiscal Year Annual Research Report
コラーゲンの過剰発現を引き起こすトリガー遺伝子-その発見と線維症克服への応用-
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12771403
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
熊谷 孝則 広島大学, 医学部, 助手 (70274058)
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Keywords | ブレオマイシン / Differential Display / 肺線維症 / Transforming growth factor / RT-PCR |
Research Abstract |
ブレオマイシン(Bm)は、扁平上皮癌や精巣癌などの治療に著効を不す抗癌抗生物質である。しかしながら、副作用として重篤な肺線維症を引き起こすことから、その使用には常に制限が伴う。本研究では、ヒト肺正常線維芽細胞(WI-38)において、Bmを添加した際に誘導発現する遺伝子をFluorescence Differential Display(FDD)法を用いて解析し、Bm肺線維症の分子機構を明らかにすることを目的とした。 本研究期間においては、Cy5標識oligo dTプライマー(2種類)および50種類のランダムプライマーを用いてFDD法を行い、Bmにより誘導発現する遺伝子を数十クローン得た。それらの中には、transforming growth factorβ(TGF-β)スーパーファミリーに属すると考えられる遺伝子の一部(3'末端側)が含まれていた。本遺伝子の発現がBmにより誘導されるという報告はこれまでになされていない。RT-PCRを用いた転写解析を行った結果、本遺伝子はBm添加3時間後から誘導発現し、その後少なくとも48時間は高レベルでの発現が持続することが明らかになった。TGF-βは腎・肝などにおける線維症に深く関与していることが知られており、今回取得した遺伝子がBm肺線維症において如何なる役割を果たしているか非常に興味深い。本遺伝子のBm肺線維症における役割を明らかにするためには、その全長型cDNAが必要であることから、5'RACE法を用いて全長型cDNAのクローニングを試みたが、本研究期間内で取得するまでには至らなかった。今後、本遺伝子の全長型cDNAを取得し、その機能を明らかにしたいと考えている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Elmileik, H.: "Use of bleomycin-and heat shock-induced calreticulin promoter for construction of a mammalian expression vector"Journal of Biochemistry. 129. 671-674 (2001)
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[Publications] Sugiyama, M.: "The 1.6 A crystal structure of the copper(II)-bound bleomycin complexed with the bleomycin-binding protein from bleomycin-producing Streptomyces verticillus"Journal of Biological Chemistry. 277. 2311-2320 (2002)
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[Publications] Sugiyama, M.: "Molecular and structural biology of bleomycin and its resistance determinants"Journal of Bioscience and Bioengineering. 93. 105-116 (2002)