2000 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質のアレルゲン性と構造安定性との因果関係の解明
Project/Area Number |
12771404
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宗 孝紀 九州大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (60294964)
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Keywords | タンパク質 / アレルゲン / 構造安定性 / IgE |
Research Abstract |
申請者は、蛋白質抗原の構造を安定化すると抗原提示細胞内のプロセシング酵素に対する抵抗性が増加し、その結果T細胞を刺激するために必要な抗原ペプチドの産生量が減少することをニワトリリゾチーム(HEL)を用いて明らかにした(So,T.et al.,J.Biol.Chem.,1997)。蛋白質抗原が、ヘルパータイプ2T細胞(Th2)を誘導する能力が高く、結果としてIgEが誘導される場合、そのタンパク質はアレルゲンとして働く。これまでの研究から、抗原ペプチドの生成効率が高い不安定なHELが相対的にTh2細胞を誘導しやすく、また変性構造上のエピトープにIgEが誘導されることが判明した。以上から、タンパク質の構造安定性がアレルゲン性を規定する因子になる可能性が示唆され、本研究でその一般性を検討することにした。 本年度は、HELに加えて、ニワトリ卵白アルブミン(OVA)及びウシ膵臓リボヌクレアーゼA(RNase A)の構造安定性の異なる誘導体を調製し、蛋白質抗原の構造安定性と抗原ペプチド生成量との関係について検討した。3種の蛋白質抗原のすべてにおいて、構造の不安定化はカテプシンDやEなどの抗原プロセシング酵素に対する感受性を高め、その結果抗原ペプチドの生成量の増加に結びつくことがわかった。したがって、これまでに報告されているような抗原ペプチド領域前後の1次構造に由来する局所構造だけでなく、構造安定性という蛋白質の全体構造に由来する因子が、外来蛋白質のプロセシング及び抗原ペプチドの生成に重要な寄与をしていることを再確認できた。構造安定性とTh2誘導能及び構造安定性とIgE誘導能、以上の2つの関連性については上記の3種の蛋白質抗原を用いて現在検討を進めている。
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