2001 Fiscal Year Annual Research Report
染色体DNA複製開始蛋白DnaAの活性調節因子の新規同定
Project/Area Number |
12771406
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒川 健児 東京大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (80304963)
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Keywords | DnaA蛋白 / DNA複製 / ATP結合 / 酸性リン脂質 / 塩基性リン脂質 / 黄色ブドウ球菌 |
Research Abstract |
黄色ブドウ球菌はグラム陽性の病原性細菌である。細菌ゲノムの遺伝子組成の比較から、これまでモデル生物として研究が進められてきた大腸菌と黄色ブドウ球菌でDNA複製の開始調節機構に違いがあること明らかになってきた。本年度、研究者代表者らは黄色ブドウ球菌の複製開始の調節機構を明らかにする目的で、DnaA蛋白の生化学的解析に着手した。大腸菌での研究からDnaA蛋白は複製開始蛋白であり、そのATP結合型は複製開始活性型で、ADP型は不活性型であることが分かっている。 精製した黄色ブドウ球菌DnaA蛋白は、ATP、ADPに対しKd値としてそれぞれ1nM、5nMと高い親和性を示した。複製開始の負の制御に必要なATPase活性も認められた。DnaA蛋白のADP型からATP型への再活性化は膜の酸性リン脂質によって行われ、この機構は大腸菌の増殖に必須であるとされる。そこで黄色ブドウ球菌から生体膜を調製し、DnaA蛋白のADP結合に対する効果を検討した。その結果酸性リン脂質のフォスファチジルグリセロール(PG)が、黄色ブドウ球菌においてもDnaA蛋白からのADPの遊離を促進し、DnaA蛋白を再活性化できることが分かった。さらにこの再活性化は、黄色ブドウ球菌に存在する塩基性リン脂質のリジルフォスファチジルグリセロール(L-PG)によって阻害された。完全な阻害に必要なL-PG量はモル比でPGの1/2量であった。黄色ブドウ球菌細胞膜にL-PGはPGの1/10量から等量存在する。従ってこれらの結果は塩基性リン脂質L-PGがDnaA蛋白の再活性化の負の制御因子であることを示唆している。
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Research Products
(1 results)