2000 Fiscal Year Annual Research Report
肺上皮細胞における心筋型カルシウム遊離チャネルの存在とその意義に関する研究
Project/Area Number |
12771407
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
礒濱 洋一郎 熊本大学, 薬学部, 助手 (10240920)
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Keywords | カルシウムイオン / リアノジン受容体 / イノシトール三リン酸受容体 / 肺胞上皮細胞 |
Research Abstract |
細胞内Ca^<2+>濃度は種々の刺激によって変化するが,細胞内貯蔵部位からのCa^<2+>遊離は種々の刺激を細胞内でCa^<2+>シグナルに変換,あるいは細胞外からのCa^<2+>流入を増幅する機序として重要である.しかし,Ca^<2+>遊離の機構については上皮細胞などの非興奮性の細胞では十分に理解されていない.本研究ではまず,肺上皮細胞のCa^<2+>遊離チャネルのキャラクタライズするために,細胞膜透過細胞標本を作製し,この標本によってIP3およびryanodineの作用を調べた.その結果,肺上皮細胞にはIP3およびryanodineの両薬物に感受性を示すCa^<2+>貯蔵部位が存在することが判明した.またmRNAおよび蛋白質に関する生化学的実験によって,本肺上皮細胞にはI型,III型の2種類のIP3受容体(IP3R-1,IP3R-3)に加え,心筋型リアノジン受容体(RyR)であるRyR-2が発現していることを見出した.さらに,本細胞には興奮性細胞と同様の高い細胞外Ca2+流入誘発Ca^<2+>遊離(CICR)能をもつことが分かった.現在,IP3R-1,IP3R-3およびRyR-2のアンチセンスオリゴヌクレオチドを肺上皮細胞の細胞株に導入するジーンタッゲティングの手法を駆使して,肺上皮細胞におけるこれらのCa^<2+>遊離チャネルアイソフォームの細胞生理学的な役割について詳細に検討している.現代生物学の定説では,非興奮性細胞のCa^<2+>遊離は全てIP3Rによると考えられている.本研究はこの定説の当否に一石を投じる画期的なものである.また,従来非興奮性細胞にはないと考えられてきたRyR-2の上皮細胞における生理学的意義を考えるうえで画期的な基礎データとなる.
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[Publications] Y.Isohama,M.Kanemaru,H.Kai,K.Takahama and T.Miyata: "Interaction between β-adrenergic signaling and protein kinase C increases cytoplasmic Ca^<2+> in alveolar type II cells."Life Sciences. (印刷中). (2001)
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[Publications] Y.Isohama and S.A.Rooney: "Glucocorticoid enhances the response of type II cells from newborn rats to surfactant secretagogues."Biochimica et Biophysica Acta. (印刷中). (2001)