2000 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ系コリン作動システムによる免疫活性制御メカニズムに関する分子薬理学的研究
Project/Area Number |
12771416
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Research Institution | Kyoritsu University of Pharmacy |
Principal Investigator |
藤井 健志 共立薬科大学, 薬学部, 講師 (80255380)
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Keywords | Acetylcholine / Human / T-lymphocyte / Protein kinase / Muscarinic receptor / Calcium / Nitric oxide / Interleukin |
Research Abstract |
本研究では,アセチルコリン(ACh)受容体を介する,1)インターロイキン-4(IL-4)遺伝子発現,2)一酸化窒素(NO)産生について検討した.実験材料としてヒトT細胞系白血病細胞株CEMおよびB細胞系白血病細胞株Daudiを用いた. 1)ACh受容体を介するIL遺伝子発現機構の検討:Tリンパ球のACh受容体を刺激した後,IL-4遺伝子の発現を,reverse transcription-polymerase chain reaction(RT-PCR)法により解析した.T細胞系白血病細胞株CEMにおいて,ニコチン受容体刺激によりIL-4遺伝子発現が増強された. 2)リンパ球における一酸化窒素合成酵素(NOS)遺伝子発現の検討:NO合成酵素(NOS)のリンパ球における遺伝子発現を,RT-PCR法により解析した.また,ACh受容体刺激したリンパ球におけるNOS遺伝子発現の誘導についても検討した.CEMには神経型NOS(nNOS)および誘導型NOS(iNOS)が発現しており,内皮型NOSは発現していなかった.B細胞系細胞株DaudiにはいずれのNOS遺伝子とも発現していなかった.ムスカリン受容体作用薬oxotremorine-M(Oxo-M)は,CEMにおけるnNOSの遺伝子発現を増強した.この作用はムスカリン受容体拮抗薬atropineにより拮抗された.3)ACh受容体刺激の一酸化窒素(NO)産生に及ぼす影響の検討:NO感受性蛍光色素(DAF-2DA)をCEMに負荷した後,スライドグラス上に固定した.共焦点レーザー顕微鏡を用いて,Tリンパ球における基礎およびACh受容体刺激した際の細胞内NO産生の変化を測定した.Tリンパ球における基礎NO産生が確認された.さらに,Oxo-MはNO産生量を増大させた.この作用はatropineにより拮抗された. 以上の結果より,1)Tリンパ球のACh受容体刺激により,IL遺伝子発現が影響を受けること,2)Tリンパ球におけるムスカリン受容体を介する細胞内NO産生が明らかとなった.Tリンパ球により合成および遊離されたアセチルコリンが,オートクラインあるいはパラクライン的に,TおよびBリンパ球の機能調節に関与している可能性が示唆された.
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Research Products
(1 results)