2000 Fiscal Year Annual Research Report
スフィンゴ脂質生合成における細胞内セラミド輸送機構に関する研究
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12771427
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
深澤 征義 国立感染症研究所, 細胞化学部, 研究員 (20291130)
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Keywords | スフィンゴ脂質 / セラミド / スフィンゴミエリン |
Research Abstract |
スフィンゴミエリン低下を示し細胞内セラミド輸送に欠損を示すCHO細胞変異株LY-Aを有している。この欠損を相補する遺伝子の発現クローニングによる単離を行うため、本年度はまず変異株のみを死滅させる効率のよいスクリーニング系を確立した。具体的には、コレステロールと特異的に結合するmethyl-β-cyclodextrinで細胞を処理することにより、野生株に比べLY-A株が顕著に障害を受けることを見いだしこれを利用した。この現象をさらに詳細に解析した結果、以下のことがわかった。1)スフィンゴ脂質とコレステロールは物理化学的に強い相互作用を有するにも関わらず、スフィンゴミエリンの低下したLY-A変異株では、細胞内及び細胞膜コレステロール量には変化が見られなかった。2)しかし、スフィンゴ脂質やコレステロールに富むことが知られる細胞膜微小ドメイン(界面活性剤難溶性ドメイン)に存在するコレステロール量はLY-A株で明らかに低下しており、細胞の膜微小ドメイン形成にスフィンゴミエリンが重要であることを初めて明らかとした。3)methyl-β-cyclodextrinで細胞を処理すると、野生株に比べLY-A株で約2倍にコレステロールの細胞外への放出が観察され、この感受性がLY-A株の細胞障害の原因と考えられた。さらにコレステロールの放出により、界面活性剤難溶性ドメインに存在するコレステロールが選択的に減少することもわかった。これらの点につき論文にまとめ報告した。現在スクリーニングを継続している。 また一方で、生化学的にLY-A欠損分子を同定する方法も模索し、semi-intact細胞を用いたin vitroセラミド輸送測定系を確立し、論文にまとめ報告した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Fukasawa,M.,Nishijima,M.Itabe,H.Takano,T.& Hanada.K,: "Reduction of Sphingomyelin level without accumulation of ceramide in Chinese hamster ovary cells affects detergent-resistant membrane domains and enhances cellular cholesterol efflux to methyl-β-cyclodextrin."Journal of Biological Chemistry. 275. 34028-34034 (2000)
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[Publications] Funakoshi,T.,Yasuda,S.,Fukasawa,M.,Nishijima,M.& Hanada,K.: "Reconstitution of ATP-and cytosol-dependent transport of de novo synthesized ceramide to the site of sphingomyelin synthesis in semi-intact cells"Journal of Biological Chemistry. 275. 29938-29945 (2000)
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[Publications] Honada,K.,Mitamura,T.,Fukasawa,M.,Magistrado,RA.Horii,T.,& Nishijima,M.: "Neutral sphingomyelinase activity dependent on Mg^<2+> and anionic phospholipids in the intraerythrocytic malaria parasite plasmodium falciparum."Biochemical Journal. 346. 671-677 (2000)