2000 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞における新奇β-1,4-ガラクトース転移酵素V遺伝子の発現調節機構の解明
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12771428
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
佐藤 武史 (財)東京都老人総合研究所, 生体情報部門, 研究員 (30291131)
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Keywords | β-1,4-ガラクトース転移酵素V / N-アセチルグルコサミン転移酵素V / 癌細胞 / 遺伝子発現 / プロモーター領域 / 転写因子 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画に基づいて研究を行い、以下の新しい知見が得られた。 1,8種類のヒト癌細胞におけるβ-1,4-ガラクトース転移酵素(β-1,4-GalT)群とN-アセチルグルコサミン転移酵素V(GnT V)の遺伝子発現をノーザンブロットにより解析した結果、β-1,4-GalT VとGnT Vの遺伝子発現に正の相関が見られた。次に、この相関が様々な臨床病理学的所見の癌組織とそれに対応する健常組織における遺伝子発現にも見られるかどうかを、24種類の癌組織と健常組織から全RNAを調製しドットブロットにより解析した。その結果、肺癌、肝癌、胃癌、卵巣癌組織におけるβ-1,4-GalT V並びにGnT Vの遺伝子発現は、それぞれの対応する健常組織に比べて共に増大していた。 2,ヒトβ-1,4-GalT V cDNAの5'-末端領域をプローブとして、ヒト胎盤ゲノムライブラリーからゲノミッククローンを単離した。これらのクローンからファージDNAを調製し、サザンブロット解析によりβ-1,4-GalT V遺伝子の開始コドンから5'-上流域を含む遺伝子断片を特定し、単離した。得られた遺伝子断片の塩基配列を決定し、プロモーター領域にどのような転写因子が結合する配列が存在するかを調べた。その結果、β-1,4-GalT V遺伝子のプロモーター領域には、GnT Vと同様に細胞の悪性形質転換に関与する癌原遺伝子産物のEtsファミリー、C-MybやAP-1が結合する配列が複数存在することを見いだした。 以上の結果をふまえて、来年度はβ-1,4-GalT V遺伝子のプロモーター領域の解析を行い、癌細胞におけるβ-1,4-GalT V遺伝子の発現調節機構を解明する。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Sato,T., et al.: "Correlated gene expression between β-1,4-galactosyltransferase V and N-acetylglucosaminyltransferase V in human cancer cell lines"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 276・3. 1019-1023 (2000)