2000 Fiscal Year Annual Research Report
三量体G蛋白質βγサブユニットによるアクチン細胞骨格と細胞接着の制御機構の解明
Project/Area Number |
12771430
|
Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
上田 浩 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 生化学部, 研究員 (50253779)
|
Keywords | G蛋白質 / βγサブユニット / Rac / Cdc42 / 細胞伸展 / 細胞接着 / 百日咳毒素 / リゾフォスファチジン酸 |
Research Abstract |
細胞の遊走・浸潤は方向性のある細胞運動で、アクチン細胞骨格とそれを制御する細胞内情報伝達系により調節されている。アクチン細胞骨格がRhoファミリー低分子量G蛋白質により制御されていることをは知られているが、細胞外刺激を受けどのような機構でRhoファミリーが活性化されるのかはまだよくわかっていない。本研究は、三量体G蛋白質βγサブユニットによるRhoファミリーG蛋白質を介する細胞骨格制御を明らかにすることを目標に遂行し、本年度は以下の結果を得た。 細胞をフィブロネクチンコートした培養皿に播いてリゾホフォスファチジン酸(LPA)で刺激したときの細胞接着・伸展の形態を観察する方法で三量体G蛋白質による伸展制御を検討した。Giを特異的に阻害する百日咳毒素でNIH3T3細胞を処理すると、細胞伸展が著しく抑制された。LPA刺激によって起こる細胞伸展は、RacおよびCdc42のドミナントネガティブ変異体で阻害された。また、内在性のRacおよびCdc42はLPAにより活性化され、この活性化は百日咳毒素処理により抑制された。これらの結果から、LPAによる細胞伸展はGiからRacおよびCdc42を介して起こっていることが明らかになった。Giによる細胞伸展はαとβγサブユニットのどちらによって起こるのかを検討したところ、αi2とβγ両者とも伸展促進を示した。βγによる促進効果はγ2よりもγ12の方が強い傾向を示した。γ12はプロテインキナーゼCで特異的にリン酸化を受ける性質があるので、リン酸化部位のセリンをアラニンに置換した遺伝子を導入するとその効果は減少し、γ2と同程度になった。また、プロテインキナーゼCの阻害剤でβγ12による促進効果がβγ2と同程度にまで減少したことより、γ12のリン酸化が一部関与していると考えられる。
|
Research Products
(1 results)