2001 Fiscal Year Annual Research Report
任意の二重らせんDNAを標的とできる人工リプレッサーの医薬分子設計
Project/Area Number |
12771431
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉山 享 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (40242036)
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Keywords | ホルミルウラシル / 15-ホルミル-2'-デオキシウリジン / シッフ塩基 / クロスリンク / RecA |
Research Abstract |
【目的】我々は5-ホルミルウリジン(X)のホルミル基が有機溶媒中でリジンの側鎖アミノ基とシッフ塩基を形成することをアミノ酸とヌクレオシドのレベルで確認している。本研究は大腸菌の遺伝子組換え酵素RecAのDNA結合部位にはL-リジン残基が1つだけ存在することに注目し、X含有オリゴヌクレオチドとの水中でのシッフ塩基形成によるクロスリンクの可能性をオリゴマーのレベルで検討することを目的とした。 【合成と解析】RecAのDNA結合部位であるloop L2部位に相当する20アミノ酸残基からなるオリゴペプチドとリジンの位置を変えた変異体をFmoc法により固相合成した。X含有オリゴヌクレオチドはジオール体として固相合成した後、過ヨウ素酸酸化によりホルミル体に導いた。Xを7つ含むAと1つだけ含むBの2種類のオリゴヌクレオチドを合成した。各合成ペプチドと天然DNAとの結合をCDスペクトルにより調べたところ、天然の配列をもつペプチド(FECO)とN末端から8番目のグリシンをリジンに置換したペプチド(G8K)だけが、DNAの添加によってそのコンホメーションがランダムコイルからβ-シートに変化し、DNAに結合することが分かった。次いで、各ペプチドとAとの結合をゲル電気泳動法により調べたところ、やはりFECOとG8KのみがAと結合した。リジンに置換してもDNA結合活性を保持できるのは8位のグリシンのみで、さらにリジンはL体に制限され、D体ではDNA結合能が失われることも合わせて明らかになった。オリゴヌクレオチドBでも同様の結果が得られ、生成物が凝集体として水中で沈殿することを見出した。リジンをもたない変異体K6Rを合成し、Bと反応させてもクロスリンクは起こらず、さらにFECOと天然DNAを反応させてもやはりクロスリンクは起こらなかったことからクロスリンクはシッフ塩基形成によることが確認された。
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Research Products
(1 results)