2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12771432
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
日野 朋美 (畑中 朋美) 富山医科薬科大学, 薬学部, 助手 (90242510)
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Keywords | 皮膚透過 / 立体選択性 / プロフェン類 / 皮膚代謝 / 皮膚結合 / フルルビプロフェン / イブプロフェン |
Research Abstract |
S体のみに抗炎症活性が認められているにも関わらず、ラセミ体として広く経皮適用されているプロフェン類の光学異性体の皮膚透過挙動を明らかにすることを目的に、フルルビプロフェン(FP)およびイブプロフェン(IP)のラセミ体水溶液とラット摘出皮膚を用いて透過実験を行った。両薬物共に溶液適用直後のS体の皮膚透過量はR体より高く、その後徐々に透過量が等しくなった。適用濃度が高いほど、適用直後の異性体間の透過量の差は小さく、短時間で等しい透過量に達した。また、透過量が等しくなるのに要する時間はIPよりFPの方が短かった。皮膚の角質層をテープストリッピングすることでこれらの傾向は弱まったものの、立体選択性は維持された。プロフェン類の皮膚透過に立体選択性が存在することが明らかとなったので、さらにその原因について検討した。まず、異性体間の皮膚代謝の差に起因する可能性を考慮して、皮膚ホモジネート中での代謝挙動を肝ホモジネートの場合と比較した。肝ホモジネート中にIPのラセミ体を添加するとR体からS体への一方向性の異性体転換が観察された。しかし、FPには変化が認められず、また皮膚ホモジネートは両薬物に対する代謝活性を示さなかった。次に、異性体の皮膚成分との結合挙動に着目し、透過実験の際の皮膚中総薬物濃度と遊離形薬物濃度を測定した。適用濃度が高く適用時間が長いほど総濃度は高かったが、遊離形薬物分率は低下し、透過過程で皮膚結合が飽和することが確認された。また、S体の解離定数はR体より低く、皮膚に対して高い親和性を示した。これらのことから、プロフェン類の立体選択的皮膚透過挙動の原因は光学異性体間の皮膚結合の差とその飽和に起因することが示唆された。
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