2000 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病における不安・うつ状態の分子疫学的検討-セロトニン・ドパミン代謝関連遺伝子多型の関与-
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12771475
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
下村 文代 (村上 文代) 鳥取大学, 医学部, 教務職員 (50239498)
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Keywords | 不安・うつ / セロトニン / セロトニン担体(5-HTT) / 5-HTTLPR / 脳梗塞 / 遺伝子多型 / SRQ-D / 糖尿病 |
Research Abstract |
本年度は主にセロトニン担体(5-HTT)の転写調節領域内5-HTT gene-linked polymorphic region(5-HTTLPR)にある遺伝子多型と不安・うつ状態の関連について検討を行なった. 対象は,健常対照者754例(平均年齢60.4歳),慢性脳梗塞(CVD)患者263例(平均69.4歳),II型糖尿病(DM)患者687例(平均62.8歳)であった. 5-HTTLPR遺伝子多型出現頻度:健常対照者の5-HTTLPR遺伝子多型のl-alleleとs-alleleの出現頻度は0.19,0.81であった.CVD患者では0.21,0.79,DM群では0.17,0.83でありDM患者では健常対照者に比しs-alleleの出現頻度が有意に高値であった. 5-HTTLPR遺伝子多型と不安・うつ状態:健常対照者のS群(s/s型)はL群(l/l+l/s型)に比しSRQ-Dの12項目全てのtotal score(TS),不安関連項目のanxiety score(AS)が有意に高値であった. CVD患者ではTS,AS,うつ関連項目のdepression score(DS)のいずれのスコアも健常対照者に比して有意に高値であった.遺伝子型ではDSにおいてL群は4.0±3.6,S群は6.6±5.6でS群はL群に比して有意に高値であり,s/s型はうつ傾向をきたす可能性が考えられた. DM患者では血糖コントロールが不良な群(HbA1c値8.0%以上)で,TSおよびDSがS群でL群に比し有意に高値であり,s/s型はうつ症状を合併する可能性が考えられた.
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