2000 Fiscal Year Annual Research Report
地域虚弱高齢者における機能訓練事業による寝たきり予防支援の効果
Project/Area Number |
12771486
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
河野 あゆみ 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (00313255)
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Keywords | 虚弱高齢者 / 地域 / 寝たきり / 介入研究 / 機能訓練事業 / 老人保健 / 予防支援 / 評価 |
Research Abstract |
介護保険制度の施行に伴い、地域高齢者には介護予防をねらった機能訓練事業のありかたが望まれている。2000年4月よりW市では、健康教育、レクリエーションなどを内容に含めた機能訓練事業を新たに始めた。本研究では、機能訓練事業開始から6か月後の身体・心理社会的効果について、事業に参加していない対照群と比較して検討した結果を報告する。 介護保険非認定者150人のうち、機能訓練事業参加を希望した者75人を介入群、事業参加を希望しなかった者75人を対照群とした。2000年4-5月にベースライン調査、同年10-11月に追跡調査を行った。調査内容はADL、上肢機能、認知能力、1.5mの歩行速度、身体症状、抑うつ、QOL、生活動作に対する自己効力感、健康管理に対する自己効力感、ソーシャルネットワークである。 追跡調査時には死亡、転居などを除き、介入群は68人、対照群は65人であったが、分析には対象全体のADLを調整し、介入群66人、対照群41人とした。介入群は対照群に比べ、有意に女性が多く、消化器疾患を持つ者(p<.05)や転倒経験者(p<.01)は有意に少なかった。また、ベースライン時では、介入群では歩行速度が速い(p<.05)、生活動作(p<.01)や健康管理(p<.05)に対する自己効力感が高い、ソーシャルネットワークが高かった(p<.05)。性、年齢、各特性のベースライン値を調整して検討した結果、介入群の方が対照群よりも認知能力が有意に6か月後の得点が高かった(p<.001)。 これらより、機能訓練事業を希望していない高齢者にも何らかの支援が必要であること、事業開始6か月後には地域高齢者の認知機能の向上に効果があることが示された。事業のねらいとした心理社会的効果がみられなかったため、今後さらに長期的な評価が必要と思われる。
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