2000 Fiscal Year Annual Research Report
看護職者の雇用形態の多様化と安全で質の高い看護の供給に関する研究
Project/Area Number |
12771508
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
田中 幸子 北里大学, 看護学部, 講師 (20286371)
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Keywords | 看護職者 / 需要供給 / 需給バランス / 人材派遣 / 雇用 / 雇用形態 |
Research Abstract |
平成11年度、神奈川県看護協会ナースセンターが実施した県内の未就業看護職者を対象にした調査では、59.7%の者が夜間勤務を不可能としており、この現状から30.6%が非常勤・臨時の雇用形態を希望している。こうした調査結果は、未就業者の81.5%が就業意志をもっていることと併せて考えると、個人生活を重視しつつ就業しようとする看護職者像が浮かんでくる。 近年、看護職者の需給バランスはほぼ一致すると言われている。しかし、看護職者の大半が女性で出産可能な年代であること、さらに生涯学習のシステム化が進んでいる今日において就業継続が困難となり退職・休職する者が増えることが考えられる。安全で質の高い看護の供給には看護職者の学習意欲を支援していくことは不可欠である。看護職者の多様な個人生活を尊重するならば、2・3交替で正規職員という従来の雇用システムだけで看護職を安定供給していくことは難しいものとならざるを得ない。 研究者が行った中国・四国地方にある200床以下の病院の看護部長・事務長に対する調査では、厚生省の需給調査とは裏腹に看護職者の確保に苦心しており、即戦力となる人材を強く求めていることがわかった。また、研究者には最近の医療過誤の増加を背景に派遣形態の雇用が敬遠されるものと推測したが、上記使用者側は、経営と即戦力となる人材の適切な配置という視点から派遣労働者も肯定する考えを示していた。一方、人材派遣法改正に関わった元衆議院労働委員に対する調査では、委員会で看護業務を特定して「派遣に適さない業務」とした理由が必ずしも明らかではなかった。したがって、専門職である看護職者が行う業務が「派遣に適さない業務」とされることの妥当性、施設側と看護職者の派遣形態のニーズをさらに調査し、派遣労働を可能とする場合の看護職者の要件、賃金体系、社会保障などの整備を考えていくことが必要である。
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