2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12771518
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
湯浅 美千代 千葉大学, 看護学部, 講師 (70237494)
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Keywords | 痴呆性老人 / 適応 / 環境 / ケア / 看護 / 介護 |
Research Abstract |
施設に入所した痴呆症を有する高齢者の環境への適応の仕方とケア方法との関係を見いだす目的で,2つの介護老人保健施設と1つの特別養護老人ホームで参加観察を行い,以下の知見を得た. (1)施設入所当初,対象者には新しい環境への戸惑いがみられ,入所者やスタッフへ助けてもらいたいというサインを出し,適応を図っていた. (2)看護・介護スタッフや観察者が対象者から出されたサインを察知し,問題が解消できた場合は,環境への適応が進み,表情の変化や社会性の拡大など心身によい影響がみられた. (3)対象者を含め入所者全体が穏やかに過ごしてる場面は,施設のスケジュールで空き時間ができ,スタッフが全く関わらない場面と,対象者に困った状況がおこらないようスタッフが関わっていた場面であった. (4)スタッフが対象者の問題が解消できない状況が長く続いていた場合,スタッフは対象者の訴えに応答しない,その場を凌ぐ(嘘を話す等)という対応になっていた.その場合,環境への適応は悪化をたどっていた.この場合,身体の状態も悪化することが予測された. (5)いったん入所後の環境適応が図られた後,対象者にはその人本来の欲求やその人らしい行動が現れることがわかった.この行動について,看護・介護スタッフが痴呆症状の悪化,不適応と理解し,特に本人や他の入所者の身体的な危険を招く場合,薬物での対応や抑制,他施設への転所,退所により適応が図られていた. 痴呆症を有する高齢者の場合,環境側から何らかの規制が働くとそれに十分応じることができずにいらだち,不安定になる.また,環境側にも問題が生じる.したがって,環境適応を促進するケア方法は,関わり方も含めて,規制が少ない(規制を感じない)環境を作ることと考えられた.
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