2000 Fiscal Year Annual Research Report
老人保健施設における痴呆高齢者のせん妄に対する看護ケアに関する研究-その実態と看護婦(士)の判断過程について-
Project/Area Number |
12771527
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
長谷川 真澄 札幌医科大学, 保健医療学部, 助手 (80315522)
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Keywords | せん妄 / 痴呆 / 高齢者 / 看護ケア / 介護老人保健施設 |
Research Abstract |
介護老人保健施設に入所している痴呆高齢者のせん妄状態について、看護婦・士が日頃どのように認識し看護ケアを行なっているか、また、その看護ケアを行なっていく際に困難を感じていることは何か、実態を把握する目的で自記式質問紙による調査を行なった。「平成11年老人保健施設・訪問看護ステーション名簿」から無作為に200施設を抽出し、その施設に所属する看護婦・士を対象に郵送調査を実施した。 回収施設数は72件(回収率36.0%)であり、559人の調査票が分析の対象となった。対象の性別は、男性45人(8.1%)、女性513人(91.8%)、不明1人(0.2%)であり、平均年齢は40.1歳であった。資格は正看護婦・士238人(42.6%)、准看護婦・士321人(57.4%)であり、そのうち介護支援専門士の資格取得者は67人(12.0%)であった。看護職経験年数は平均14.6年、老人保健施設での経験年数は平均3.4年であった。 せん妄状態にある入所者との遭遇頻度は、約9割が「いつも見かける」「時々見かける」と答えた。せん妄状態の症状の中で多く見られるのは、「落着きがなくなる」「徘徊」「昼夜逆転」「夜間不眠」「場所の見当識障害」であった。せん妄の原因として考えられるのは「環境の変化」が9割で最も多く、次いで「何らかの疾病」「薬物副作用」「睡眠障害」の順であった。せん妄状態にある入所者をケアする際に困難を感じる人は421人(83.7%)であり、その内容は「せん妄状態にある人との意志疎通が困難」「痴呆との区別や原因の判断が難しく看護ケアの効果が乏しい」「せん妄状態にある高齢者から目が離せないが、ケアスタッフの人数に限りがあり看護ケアの為の十分な時間がとれない」「他の入所者に悪影響を及ぼす」「暴力行為に看護者自身が身の危険を感じる」などであった。
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