2000 Fiscal Year Annual Research Report
慢性化した精神分裂病者の身体面の健康問題に関する看護についての研究
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12771530
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
大竹 眞裕美 福島県立医科大学, 看護学部, 助手 (70315670)
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Keywords | 精神分裂病 / 身体合併症 / 精神科看護 |
Research Abstract |
先ず、調査を開始する準備として「身体合併症」をキーワードに医学中央雑誌を用い1991年から2000年までの文献を検索した。多くの論文で精神障害者の身体合併症に関する医療体制の確立が急務であることを提言していたが、慢性化した精神分裂者の生活様式や行動の変化と身体状態の変調との関連に関する論文はなかった。 次に精神科患者の身体合併症治療病棟を有する関東地域のA精神病院の協力を得て、精神科の慢性期病棟に勤務する看護婦3名、看護士1名および精神科老人病棟に勤務する看護婦3名とのグループインタビューを実施し、それぞれの病棟で発生する身体面の問題の特徴について聴取した。 精神科老人病棟の患者は70歳以上が大半で、老齢化による身体機能の低下が根底にあり、活動性が高く動き回るタイプでは転倒による骨折が多く、自発性が全般に低下したタイプでは呼吸器感染、尿路感染、不明熱、低アルブミシや貧血に数日間の臥床が加わると褥創が形成されやすい等が挙げられた。慢性期病棟では30〜40歳代の患者に身体症状の発生が多く、長年の食習慣に由来して肥満、高脂血症、動脈硬化症、過活動による心肺機能への過剰な負荷から生じる意識消失発作、狭心症発作などの問題が挙げられた。また、両病棟ともに基本的には内科医の往診を受けながら病棟内で治療を実施し、多くの場合、身体合併症のために転棟しないことが判明した。 そこで、今年度は、研究計画を一部変更し、前述の2つの病棟での調査を実施している。精神分裂病の患者に発生した身体症状と確認された前後の期間における身体状態に関する検査所見、生活様式(対象病院が使用するOrem-Underwoodのセルフケアモデルの枠組みから作成)、患者の発言・主訴等の調査項目に従って、各事例の経過について、現在もデータ収集中である。
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