2001 Fiscal Year Annual Research Report
慢性化した精神分裂病者の身体面の健康問題に関する看護についての研究
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12771530
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
大竹 眞裕美 福島県立医科大学, 看護学部, 助手 (70315670)
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Keywords | 精神分裂病 / 身体合併症 / 精神科看護 / 精神科老人病棟 |
Research Abstract |
平成12年度での予備調査を経て、身体合併症病棟を有する関東地区のA精神病院の精神科老人病棟と精神科慢性期病棟で平成13年3月から5月に身体症状が発生した事例について、発生後約1年間と発生前の生活様式、患者の言動、身体状態に関する検査所見等についてデータ収集を行った。精神科老人病棟では、入院期間が10年から50年(平均31.5年)、72歳から79歳(平均75.3歳)の女性5名および男性1名、慢性期病棟では入院期間が8年から26年(平均15年)の52歳、68歳、73歳(平均64.3歳)の女性3名が調査対象となった。合計9事例の身体疾患の既往をみると、70歳未満の2名では抗精神病薬の長期服用に起因した慢性便秘症が主要なものであったが、70歳以上のケースではこれに貧血症、高血圧症、虚血性心疾患などが加わっており、脳室拡大・脳萎縮を指摘されているケースが大部分を占めていた。精神科老人病棟には食事や水分摂取、排泄、清潔保持を適切に維持するためには工夫と時間をかけた援助が必要な患者が多く存在したが、調査対象となった6事例について縦断的に経過を分析していくと、発熱やイレウス様の症状など、何らかの身体症状を繰り返す"Repeater"現象が起こっていることが明かになった。身体機能と意思決定の両面からセルフケア能力が低下した老年期の患者の生活を援助するためには、高度のアセスメント能力とヒューマンパワーの投入が必要であり、こうした患者を対象としている精神科病棟での看護度調査の必要性も示唆された。 以上の結果をもとに、加齢に伴なう生理機能の変化と抗精神病薬の長期服用が身体機能に与える影響に関する文献を再度検索しながら、精神面と身体面の問題が複雑に影響し合う状態をアセスメントする際のポイント、精神科病棟における身体ケアのあり方を中心に今後も検討を重ていく。
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