Research Abstract |
平成13年4月から平成14年1月の10ヶ月間,琴の浦リハビリテーションセンター付属病院協力のもと,脳血管障害および脊椎・脊髄疾患を有する患者を対象に,発泡作用のある入浴剤を用いた足浴(以下、炭酸ガス入り足浴とする)と従来の足浴(以下,温浴とする)を実施した。炭酸ガス入り足浴と温浴では,足浴方法は同じである。対象者は,脳梗塞や脳出血などの脳血管障害による片麻痺のある10人(男性5人,女性5人,平均年齢62.9歳)と腰部脊柱管狭窄症,頚髄症,腰椎すべり症など脊椎・脊髄疾患による下肢神経障害を有する患者10人(男性4人,女性6人,平均年齢65.3歳)であった。それぞれの足浴前後に中枢温・末梢温・腋窩温,血圧(上肢・下肢),脈拍,足背動脈血流,主観的満足感(心地よさ)を測定した。末梢温・腋窩温,血圧(上肢・下肢),脈拍,足背動脈血流を測定時,脊椎・脊髄疾患患者は右上下肢,脳血管障害患者は健肢側と麻痺側の両者で測定した。測定値を炭酸ガス入り足浴と温浴の両者間で検定した結果,足背動脈血流において有意な差(P<0.05)があった。そして,被験者の主観的満足感においても温浴と比べ炭酸ガス入り足浴の方が満足度が高かった。また,脳血管障害患者の健肢側と麻痺側を比較した結果,すべての測定項目において有意差は認めなかった。しかしながら,末梢温,血圧(上肢・下肢),足背動脈血流において麻痺側のほうが,保温持続時間が長く,足背動脈血流量が軽度多かった。この結果から,健肢側より麻痺側の方が保温により下肢血流量が増加したことが分かった。以上の結果から,温浴と比べ炭酸ガス入り足浴は保温効果が高く,脊椎・脊髄疾患患者の主観的異常知覚にも効果があることが明らかとなった。さらに,炭酸ガス入り足浴を継続することで,脳血管障害患者の麻痺側の浮腫を軽減できるのではないかという示唆が得られた。
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