2000 Fiscal Year Annual Research Report
立位姿勢調節への伸張反射の重要性を求心性神経活動および筋線維動態から解明する
Project/Area Number |
12780009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神崎 素樹 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (30313167)
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Keywords | 姿勢調節 / 伸張反射 / 筋音図 / 筋電図 / 相互相関関数解析 / 周波数解析 |
Research Abstract |
研究実績は以下のとおり. 静的立位姿勢保持中(30秒間)の下腿伸筋群の伸張反射の貢献を明らかにすることを目的とし,立位姿勢時の足圧中心動揺,下腿伸筋の協働筋であるヒラメ筋および腓腹筋から表面筋電図(節の電気的活動)と筋音図(筋の機械的活動を反映)を記録し,これらパラメータの周波数および時間特性を検討した. 姿勢保持中の足圧中心動揺,筋音図信号をFFT法によりパワースペクトル密度を算出したところ,足圧中心動揺には,特異的なピークは見られなかった.一方,筋音図信号には,8-12Hzにピークが観察された.この8-12Hzの微小振動は,Ia群線維由来の生理学的振戦であることが知られている(Lippold et al.1970)ため,静的立位姿勢時には,下腿伸筋群のIa群線維由来の反射が姿勢保持に貢献している可能性が推察された.さらに,ヒラメ筋と腓腹筋の筋音図信号の8-12Hzのパワーを比較したところ,ヒラメ筋のパワーが腓腹筋よりも大きいことが解った.これらの結果より,静的立位姿勢保持中には,ヒラメ筋のIa群線維由来の反射により姿勢調節が持続的に行われていることが示唆された. しかし,筋音図は,ノイズの影響(主に,体の動き)を受けやすいため,静的立位中の筋音図信号が,筋の機械的活動(筋の振動)を反映しているか否かは疑問である.そこで,この疑問を解決するために,相互相関関数解析により足圧中心動揺,筋電図,筋音図の時間的関係(どちらの変動がどの程度はやく起こっているか)を検討した.これらパラメータ間の相関(波形の類似性)は高く,さらに,"筋電図(電気的活動)⇒筋音図(機械的活動)⇒足圧中心動揺"という順で変動が起こっていることが解った.この結果より.筋音図信号は,筋活動よる振動を感知しており,静的立位中の筋音図信号の8-12Hz成分は,Ia群求心性線維由来の生理学的振戦を反映しているが明らかとなった.
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