2001 Fiscal Year Annual Research Report
立位姿勢調節への伸張反射の重要性を求心性神経活動および筋線維動態から解明する
Project/Area Number |
12780009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神崎 素樹 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (30313167)
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Keywords | 姿勢調節 / 伸張反射 / 筋音図 / Ia群線維活動 / 周波数解析 |
Research Abstract |
平成12年度では,静的立位姿勢保持中に下腿伸筋群から筋電図(筋の電気的活動を反映)および筋音図信号(筋の機械的活動を反映)を取得し,これらからIa群求心性線維由来の生理学的振戦を抽出した.平成13年度では,このIa群線維活動が静的立位保持に貢献しているか否かを明らかにすることを目的とした. 静的立位姿勢時の足圧中心動揺,下腿伸筋の協働筋であるヒラメ筋および腓腹筋から筋音図を記録し,これらパラメータの周波数および時間特性を検討した.姿勢保持中の協働筋の筋音図信号をFFT法によりパワースペクトル密度を算出したところ,いずれの筋において8-12Hzにピークが観察された.この8-12Hzの微小振動は,Ia群線維由来の生理学的振戦であることが知られている(Lippold et al. 1970)ため,静的立位姿勢時には,下腿伸筋群のIa群線維由来の反射が姿勢保持に関連していることが示唆された.ヒラメ筋と腓腹筋の筋音図信号の8-12Hz成分のパワーを比較したところ,ヒラメ筋のパワーが腓腹筋よりも大きいことが解つた.これらの結果より,静的立位姿勢保持中には,ヒラメ筋のIa群線維由来の反射により姿勢調節が持続的に行われていることが解った. 静的立位姿勢時の筋音図信号を姿勢保持能力の異なる若齢者と高齢者で比較したところ,高齢者群において,筋音図8-12Hz成分のパワーが顕著であった.これは,姿勢保持の主働筋である下腿伸筋群の筋量の少ない高齢者では,Ia群線維由来の伸張反射によって,足関節のスティッフネスを補償していることを意味している.これら結果より,Ia群線維活動は姿勢保持に貢献していること,また,姿勢保持能力の劣る高齢者群において,特に重要な役割を担うことが明らかとなった.
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