2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12780018
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
柳原 大 豊橋技術科学大学, 体育・保健センター, 助教授 (90252725)
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Keywords | 小脳 / 歩行 / 運動学習 |
Research Abstract |
小脳は運動を円滑に行うためのスキルの学習・記憶に重要な役割を持っており、その基礎過程にはプルキンエ細胞におけるシナプス伝達の可塑性(長期抑圧)が機能している。ところで、学習したものを長期的に記憶としてシナプスにおいて保存しておくためには何らかのタンパク合成が必要ではないかと考えられている。そこで、本研究においては、歩行における運動学習として回転棒課題を、さらに心拍条件付け課題をマウスにおいて行い、学習前および学習が成立した保持の時期にタンパク合成阻害剤を小脳皮質に投与する。用いたマウスは6-8週齢のC57BL/6ですべてオスであった。タンパク合成阻害剤としてはアクチノマイシン(actinomycin)およびアニソマイシン(anisomycin)を用い、対照として生理的食塩水を用いた。 回転棒課題を行わせるマウスに対しては、あらかじめ阻害剤注入のためのヘッドチャンバーを小脳直上の正中に取り付けておいた。回転棒課題を行う前あるいは10試行以上行い、安定して歩行ができるようになった後に小脳虫部にタンパク合成阻害剤を投与した個体においても、生理的食塩水を投与した個体と差異は観察されなかった。 小脳は運動の制御のみならず、心臓・血管系をはじめとする自律神経系の制御にも関与している。ウサギやラットを対象に条件刺激として音刺激、無条件刺激として尾部の電気刺激の呈示を組み合わせ、数秒間の音刺激呈示中に漸進的に心拍数が低下する徐脈反応、すなわち条件付け徐脈に小脳虫部が関与している。そこで、マウスにおいてもこの条件付け徐脈課題を行う実験準備を進めた。この課題におけるタンパク合成阻害剤の投与実験は次年度に行う。
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Research Products
(1 results)