2000 Fiscal Year Annual Research Report
スポーツ選手のメンタルヘルス向上のための社会心理的アブローチ-スポーツによる人格変容理論の構築に向けて-
Project/Area Number |
12780047
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Research Institution | Osaka University of Health and Sport Sciences |
Principal Investigator |
土屋 裕睦 大阪体育大学, 体育学部, 講師 (80272186)
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Keywords | メンタルヘルス / ソーシャル・サポート / メンタルトレーニング / ストレスマネジメント |
Research Abstract |
本研究における平成12年度の研究計画は、スポーツとメンタルヘルスに関連する研究報告をレビューし、スポーツによる人格変容モデルの構築を目指すことにあった。研究1では、メンタルトレーニング関連図書(和書82冊)を対象とした文献研究を行い、1990年代より刊行数が増加し、特に我が国独自の実践報告がなされている現状が確認された。さらにそこで用いられる心理技法や行動変容プログラムを概観したところ、人格変容を説明する理論のほとんどは、行動理論(学習理論)に基づいており、体育・スポーツ分野独自のアプローチが不足している現状が指摘された。しかしながら「指導者-選手の関係性」のように、特殊な社会心理的変数が選手のメンタルヘルスの維持増進に役立つ可能性も指摘された。続いて研究2では、スポーツ選手のメンタルヘルスの特徴を把握するため、体育系大学生のUPI(精神健康度検査)データをもとに、因子構造の観点から多愁訴群のスクリーニングに役立つ知見を見いだした。これらの知見を踏まえ研究3では、負傷選手に対するインタビュー調査を実施し、スポーツ選手のメンタルヘルス維持増進に関わる社会心理的要因の探求と検証を行った。その結果、コーチやチームメイトといった周囲の他者からのソーシャル・サポートが重要な要因であることが確認され、研究1で見いだされた「指導者-選手の関係性」の重要性が改めて確認された。そしてこのソーシャル・サポートの有効活用を目指すため、ストレスマネジメント教育に関わる講習会が実施され、その効果が検討された。なお、スポーツ心理学会、スポーツ教育学会、体育学会にて、それぞれ研究1,2,3の成果の一部を発表した。
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