2001 Fiscal Year Annual Research Report
東アフリカ高地農村における親族の社会空間的ネットワークを通した生業連関の研究
Project/Area Number |
12780052
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上田 元 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10241514)
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Keywords | 生業 / モラル・エコノミー / 親族ネットワーク / 新開地 / 東アフリカ |
Research Abstract |
(1)計画とは異なり,本科研費によらずにタンザニア・メル山周辺の衛星データを入手し得た.これを手持ちのデータと比較し植生被覆の季節変化を見極めて,灌概に依存する新開地を特定した(現地調査は報告者が分担している基盤研究(A)「アフリカの農村貧困問題に関する社会経済史的研究」(課題番号12372005)により本年度夏に実施).そこでの農産物の生産と流通における社会空間的ネットワークの役割を考えるために,東アフリカ社会のモラル・エコノミーに関する文献のレビューを行い,その結果を公にした.(2)年度初めにケニア政府に対して「ケニア中央部の小農の生計における農村間および都市農村連関の役割に関する研究」の実施を申請した.予定通りアバーデア山脈北麓のキクユ人社会を対象とした政府調査許可を11月下旬に取得したのち,12月上旬にかけてケニア・ナイロビ大学に赴き研究打合せを行い,現地調査を開始した.最新の地図情報が皆無なため,まず衛星画像上特異な区域を含めてグランド・トゥルース作業を行い,小麦大農園の存在を確認し,また再配分された旧大農園・牧場に入植した小農の分布を特定した.後者には1980年前後よりキクユ人が隣県から転入し,アップランド集落での天水メイズ作と放牧,河岸段丘面への出作りによるメイズ作と換金蔬菜栽培(動力ポンプ灌概)が生業である.市場経済に依存するポンプ灌概の脆弱性のため失敗して帰還する人々が少なくなく,人口稠密なアバーデア山腹集落との間の移動流は必ずしも一方向的ではないことがわかった.今後は,転出者と残留者の差を生み出す要因を,耕地の所有・貸借関係と土地市場の実態に注目しつつ明らかにし,また帰還をも可能にする親族ネットワークとそれによる生業連関(農業・酪農業・農外就労)を検討し,タンザニアとの比較を行う.(3)予定していたロンドンでの資料収集は,ケニア渡航の経路変更のため今年度は断念した.
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Research Products
(1 results)