2000 Fiscal Year Annual Research Report
焼畑農耕社会の定住化に伴う社会経済変化と熱帯森林環境変化の相互関係に関する研究
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12780055
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐藤 廉也 九州大学, 比較社会文化研究院, 助教授 (20293938)
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Keywords | アフリカ / エチオピア / 焼畑 / 定住化 / 集住化 / 環境利用 / 熱帯林 / 土地利用変化 |
Research Abstract |
研究初年度にあたる平成12年度は、比較研究のためのフレームづくりとして、研究代表者がデータを持つエチオピアの熱帯湿潤林および焼畑社会を対象とする分析に焦点をあてることとした。具体的手順として、次の手順にしたがって研究を実施した。 1.ミクロな森林環境・居住環境の動態の追跡のために、伝統的移動集落と定住化集落からそれぞれサンプルを選定し、空中写真、衛星データ、現地の土地利用・植生調査資料を併用して、今世紀初頭から現在までの集落と森林環境の動態を復原することを試みた。 2.復原によって得られた集落および森林環境の動態に、聞き取りや参与観察によって得られた資料を重ねあわせて、伝統的移動集落と定住化集落の相違点・相同点を比較検討した。 なお、1に関しては、研究代表者が過去に植生調査と土地の履歴調査をおこなった集落(エチオピア・ガンベラ州内のKumi村およびJaaman村)を対象として選定、分析作業をおこなった。 また、2については、過去の現地調査時に収集された、集落移動史の聞き取り、土地利用調査、およびエチオピア中央政府や州政府・郡役所からの統計資料をデータとして用いた。 これらの分析作業の結果、現地の人びとの森林利用の変化と定住化との関係、およびそれに伴う森林環境そのものの変化のプロセスに関するいくつかの知見が得られた。これらは、次年度におこなう比較研究とあわせて、雑誌論文の形で発表する予定である。なお、予察的な研究発表は、すでに本年度内に国際地理学会や国内の研究会でおこない、その際の情報交換によって研究手法に関する改良点も発見された。 以上の作業から、次年度の研究の主眼となる広域(他地域を含む)の比較研究のための準拠枠が得られ、本年度の目的は十分に達成されたと思われる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 佐藤廉也: "地方分権体制のエチオピアと辺境の民族-州境をめぐる紛争とある開発プロジェクトの崩壊"アフリカレポート. 30. 12-15 (2000)
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[Publications] 佐藤廉也: "20世紀の焼畑集落史"JANESニュースレター. 10(印刷中). (2001)
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[Publications] Sato,Ren'ya: "Evangelical Christianity, Villagization and Ethnic Consciousness among the Majangir. In W.,James et al..(eds) Remapping Ethiopia."James Currey (Oxford) (in press). (2001)
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[Publications] 八田洋章,佐藤廉也: "「エチオピアの熱帯林における焼畑火入れ後の植生回復-遷移初期におけるキク科Vernonia属4種のかかわり-」石弘之(他)編『地球環境撹乱下における生物多様性の保全および生命情報の維持管理に関する総合的基礎研究』(新プログラム方式による科学研究費補助金(創生的研究費)「生物多様性と人間社会の相互作用研究班」中間報告)"東京大学. 211 (2000)
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[Publications] 佐藤廉也: "「焼かない焼畑-西南エチオピアの可塑的な焼畑技術-」福井勝義編『焼畑再考』"昭和堂(印刷中). (2001)