2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12780057
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
淺野 敏久 広島大学, 総合科学部, 助教授 (00284125)
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Keywords | 人文地理学 / 社会地理学 / 環境運動 / 環境問題 / 中海 / 宍道湖 / 霞ヶ浦 |
Research Abstract |
本年度は調査の後半として更なる情報収集とデータ整理に努めた。これまで環境運動と「地域」の関わりに焦点を当ててきたが,本研究では,これまでの研究を総括するとともに新たな調査により,環境運動を「地域」の文脈から理解する枠組みを示すことを目的とした。 1.環境運動の地理学的研究動向:1990年代以降,日本の地理学において環境運動を扱った論文は増えているが,必ずしも共通の研究課題・研究動機を共有しているわけではないことを確認した。 2.全国的・世界的な環境運動に関する情報収集:2001年秋に開催された世界湖沼会議を中心に各地の湖沼環境に関わる運動関係者との情報交換を行った。今後の共同研究の準備にもなった。 3.霞ヶ浦周辺地域での環境運動に関する現地調査:筆者がかつて行った当地域での環境運動団体の活動はこの10数年間に大きく変化した。転機は,1992年の地球サミットと1995年の土浦での世界湖沼会議で,活動は政治的な主張を顕示するグループと政治的主張を避け市民参加型の環境づくり活動を進めるグループに分かれた。加えて,それぞれの活動は以前と比べて経済的事業規模が格段に増大していた。 4.中海・宍道湖周辺地域での環境運動に関する現地調査:本庄工区開発は中止になったが,残された問題については議論が続いている。この間の動向につき継続的に情報を収集した。また,当該地域における反対運動とは別の動きとして宍道湖・中海を含む斐伊川流域の環境保全・地域づくりを志向した活動が活発になっており,それに関する調査も行った。この地域でも霞ヶ浦同様,政治的な活動と内省的な活動とに2分する傾向が認められた。 5.「地域」の文脈から環境運動をとらえる枠組み:現時点での成果の一部を淺野(2002)にまとめたが,内容的に不十分であり,来年度以降更なる調査研究を進めるつもりである。
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Research Products
(1 results)