2000 Fiscal Year Annual Research Report
濃尾平野の埋積地形形成史と第四紀の海水準変動に関する研究
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12780068
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
須貝 俊彦 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (90251321)
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Keywords | 濃尾平野 / 第四紀 / 海水準変動 / ボーリングコア / 電気伝導度 / アコモデーション / 海成粘土層 / 地殻変動 |
Research Abstract |
1998〜1999年に岐阜県海津郡海津町において地質調査所によって掘削された深度600mオールコア(GS-NB-1)を対象として、コアの粘土層部分の堆積環境の復元を試みた。具体的には、粘土層を蒸留水にまぜて粘土混濁水をつくり、その電気伝導度を測定し、さらに広域テフラ層序との関係を検討した結果、次の諸点が明かとなった。(1)電気伝導度は海成層と非海成層の識別にたいへん有効である。(2)GS-NB-1は6枚の明瞭な海成粘土層を含み、海洋酸素同位体ステージ(MIS)の1、5.5、7、9、11、15の海進堆積物に対比される。(3)GS-NB-1は3枚の汽水-海成粘土層を含み、MIS5.1または5.3、MIS8.5、MIS19の各海進堆積物の可能性がある。(4)電気伝導度の絶対値や高い電気伝導度を示す地層の層厚は、海成層ごとに異なり、こうした相違は、沈降運動と氷河性海水準変動の組み合わせで決まるアコモデーション(堆積空間形成速度)の時間変化モデルによって説明できる可能性がある。(5)電気伝導度変化をコア全体を通してみると、みかけ上、約90万年前以降は海進規模が増大する傾向にあり、中期更新世以降の濃尾傾動運動の活発化が示唆される。(6)今後の研究展開として(4)の知見から逆に、氷河性海水準変動曲線を復元し、海洋酸素同位体比曲線から推定されている海水準変動曲線との比較を進めて行く目処が立った。
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