2001 Fiscal Year Annual Research Report
高湿低湿時の乳幼児の肌の特性と湿度の変化が乳幼児衣料の物性に与える影響
Project/Area Number |
12780074
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
井上 真理 神戸大学, 発達科学部, 助教授 (20294184)
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Keywords | 乳幼児 / 表面摩擦係数 / 圧縮特性 / 水分率 / 風合い / 耐久性能 |
Research Abstract |
1 乳幼児の肌と比較するために20代の男性13名、女性13名および、8歳の女児、30代の女性、60代の男女各1名の肌の特性について、乳幼児の肌と同様に表面摩擦特性と圧縮特性の測定を行った。室温での測定において、30名の表面摩擦特性の平均値は0.415、標準偏差値σは0.168で、ほぼ全員の値が-2σ〜2σの範囲内に位置したが、年齢による差はほとんどみられなかった。その傾向は圧縮特性でも同様である。室温での皮膚の水分率が25〜30%RHであり、湿度を高くすることで行った実験では皮膚の水分率が50%RH以上となった。個々の特性値のばらつきは大きく、水分率と各特性値との相関係数はあまり高くなかったが、同一人物において、皮膚の水分率を変化させて行った結果からは、皮膚の水分率が高くなると平均摩擦係数が増加する傾向が明らかとなった。 2 昨年度、綿素材を中心として収集した、肌着・Tシャツ地、ブラウス地、トレーナー地などを含む乳幼児衣料20種を用いて、物理特性の測定と風合い計算、および熱・水分移動特性の測定を行うとともに、10回の水洗濯による特性変化の影響を捉えた。ブラウス地を除いて、ほとんどが編布であったことから、肌着編布の標準条件にあわせて測定および風合い計算を行った。今回用いた試料の各特性値は肌着編布の平均値にほぼ近く、風合い値も平均値の2σの範囲内であった。洗濯による耐久性能の変化は、せん断ヒステレシス、曲げヒステレシスの増加、引張レジリエンスの減少が見られ、布の弾性成分の減少、繊維間摩擦成分の増大、履歴現象の増大から試料の性能劣化が予測された。乳幼児用の衣料は特に、洗濯回数が多いことから、さらなる性能劣化が考えられる。 3 布試料のうち、摩擦係数の大きいものと小さいものを選んで、皮膚の水分率が異なるときの布による皮膚の摩擦について検討した。その結果、皮膚の水分率の増加に伴い、布と皮膚の摩擦係数も増加することが明らかになった。
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