2001 Fiscal Year Annual Research Report
魚の塩干しに含まれる変異原の作用機構とグリシンベタインによるその防御機構
Project/Area Number |
12780094
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
木村 幸子 姫路工業大学, 環境人間学部, 助手 (70225035)
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Keywords | 2-chloro-4-methylthiobutanoic acid / 変異原性 / LC-MS / MS / DNA付加体 |
Research Abstract |
魚の塩干しを酸性条件下で亜硝酸および塩化ナトリウムで処理することにより、変異原物質2-chloro-4-methylthiobutanoic acid (CMBA)が生成する。その変異原性の作用機序を解明する目的で、CMBAで処理したS.typhimurium TA100から抽出したDNA中の付加体の検出を試みた。 これまでの実験からCMBAが引き起こす突然変異のタイプは、GCからATへのトランジションであることが分かっている。このタイプの変異を引き起こす主な原因として、グアニンの6位のケト基がメチル化されたO^6-メチルグアニンの生成が知られている。そこで、標準品のO^6-メチルグアニンを用いてLC-MS/MSの測定条件を最適化し、第1段階の質量分析計で分子イオンm/z 166を選択し、第2段階の質量分析計でプロダクトイオンm/z 149を指定して、正イオンモードのエレクトロスプレーイオン化法によるLC-MS/MS分析を行った。 S.typhimurium TA100のCMBAでの処理は、リン酸ナトリウム緩衝液中で37℃、4時間行った。その後DNAを抽出し、酸加水分解して得られた核酸塩基溶液をLC-MS/MSで測定した。 同じタイプの変異を引き起こすことが知られている発がん物質、N-methyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine (MNNG)を用いて同様の処理を行い、LC-MS/MS測定を行ったところ、高感度にO^6-メチルグアニンを検出することに成功した。しかし、CMBAで処理したS.typhimurium TA100から得られた塩基の中には、O^6-メチルグアニンは検出されなかった。また、m/z 149のプリカーサーイオンスペクトル分析でも対照実験と異なるイオンは検出されなかった。今後さらに条件検討を行い、DNA付加体の検出を試みる予定である。
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