2000 Fiscal Year Annual Research Report
超低密度リポタンパク質(VLDL)の酸化修飾と抗酸化物質による抑制
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12780097
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
新井 博文 山口大学, 医学部, 助手 (70295848)
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Keywords | 超低密度リポタンパク質 / apoE / 抗酸化 |
Research Abstract |
<VLDLの脂質過酸化反応にともなうapoEの酸化修飾> 健常人の血漿から超遠心分離法によってVLDLを調製し、酸化ストレス(遷移金属イオン:Cu^<2+>、ペルオキシラジカル:AAPH、ペルオキシナイトライト:SIN-1)を負荷した。生成する過酸化脂質をHPLCで定量し、VLDL中のapoE酸化修飾物をSDS-PAGEおよびwestern blottingによって分析した。 Cu^<2+>による酸化反応ではチオバルビツール酸反応性物質の蓄積が、AAPHおよびSIN-1による酸化反応ではコレステロールエステルヒドロペルオキシドの蓄積が認められた。未酸化のVLDL中のapoEは、抗apoE抗体によって分子量34000の単一バンドとして検出されるが、Cu^<2+>、AAPH、SIN-1によって12時間酸化したVLDL中のapoEは、いずれもスメア状のバンドとして検出された。Cu^<2+>による酸化VLDL中には脂質ヒドロペルオキシド(LOOH)の分解物であるアクロレイン(ACR)の付加体が抗ACRモノクローナル抗体によりスメア状のバンドとして検出されたが、AAPHおよびSIN-1による酸化VLDL中には検出されなかった。脂質代謝において重要なapoEの機能の一つであるヘパリン結合活性はCu^<2+>、AAPH、SIN-1による酸化修飾によって著しく低下した。 Cu^<2+>による酸化反応ではLOOHは分解されてACRなどのアルデヒドが生成すると考えられる。apoEの修飾はこのアルデヒドの付加反応によって引き起こされることが示唆された。AAPH、SIN-1による酸化ではACR付加体が検出されなかったことから、LOOHは分解されずに蓄積すると考えられる。apoEの修飾機序は明らかではないが、AAPHおよびSIN-1が直接生成するペルオキシラジカルおよびペルオキシナイトライトや、脂質過酸化連鎖反応で生成する脂質ペルオキシラジカルとの反応が関与していると推察される。
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