2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12780159
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
見上 昌睦 福岡教育大学, 教育学部, 講師 (30279591)
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Keywords | 吃音 / 吃音児 / 言語指導 / 発話モデリング / 親指導 / 環境調整 / 劇遊び / 歌唱 |
Research Abstract |
1.目的:吃音を意識し、重症度の高い子どもの指導のあり方を検討することは急務である。今回、遊戯的要素をとり入れ、間接的に言語指導を試みた1例について検討した。 2.方法:(1)対象児:4歳6ヵ月に発吃した7歳0ヵ月の男児。吃音以外に言語、聴力に障害なし。S-M社会生活能力検査でSQ98、ITPA言語学習能力診断検査でPLQ109。アイオワ式吃音重症度評定尺度による初診時重症度7。随伴症状・吃音の意識・回避反応あり。 (2)指導方法:Conture(1982)、大橋(1993)等を参考に、流暢発話を動物等の動きに例えた指導を実施。(1)メトロノーム様玩具に合わせて母音部をひき伸ばし気味に発話。(2)亀(ゆっくり)、蛙(1音ずつ発話)、柔軟性に富むぬいぐるみ(力を抜く)、蝶(軽く)などの動きに例えた発話。(3)動物のように1歩歩く、あるいはトランポリンで1回弾む毎にlモーラあるいは1音節ずつ発話(Runyanら,1999の"Animal Tracks"に近似)。本発話方法に慣れるまでは指導者の発話を模倣・復唱、斉唱させた。7歳3ヵ月時より劇遊び、7歳6ヵ月時より歌唱をとり入れた。指導場面には母親も同席、参観および随時指導にも参加してもらった。言語指導終了後に自由遊び、並行して母親面接を実施。母親に若葉(1999)の1週間毎の家庭における本児の状態に関する質問紙を実施、記載内容をふまえて面接を進め、環境調整をはかった。教材は持ち帰らせた。母親には家庭でも無理のない範囲内で音読や劇遊び、歌唱等を本児と一緒に試みてもらった。 3.経過:指導は週1回のペースで、8歳5ヵ月現在まで46回実施。指導場面の重症度は指導開始後2〜1となり、7歳5ヵ月時〜現在まで1、音・音節のくり返しが主症状となった。家庭・学校場面における回避反応は消失。家庭場面の重症度は7歳6ヵ月時まで5〜4、8歳3ヵ月時まで3〜1、8歳3カ月時以降1〜0。 4.考察:重度吃音児に環境調整とともに遊戯的要素をとり入れて間接的に言語指導を行うことの有効性が示唆された。
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Research Products
(1 results)