2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12780214
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
大野 和彦 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (20303703)
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Keywords | 並列言語 / スクリプト言語 / 言語処理系 / 分散環境 / PCクラスタ / 並列アプリケーション |
Research Abstract |
本研究では、容易に並列プログラムが記述できるスクリプト言語の実現を目指している。最終年度にあたる今年度は、コンパイラ型の並列言語の開発・実装も行い、その結果もふまえて昨年度に実装した処理系の拡張を行った。さらに、昨年と同様に種々の並列アプリケーション開発も行い、その結果を処理系の改良に役立てた。 我々は、スクリプト言語と対比されるコンパイラ型の並列言語として「Orgel」を開発している。今年度は分散環境での最適化実行に関する研究を行い、PCクラスタなどの上で記号処理を並列実行するさいの重要な知見を得た。また昨年度に引き続き、並列アプリケーションとして共有メモリ型並列計算機のシミュレータや、並列配線システムの開発を行った。 これらの成果を元に、昨年度に実現した並列スクリプト言語「(Perl)+」の拡張を行った。昨年度はRPCによる並列タスク実行を実現したが、本年度はこれに加え、タスク間通信機能を設計・実装した。これにより、並列に動作するタスク間の情報交換を任意のタイミングで行うことができ、より細かい並列制御が可能になる。 通信モデルには、Orgelと同じストリーム方式を採用した。このモデルは複数の入出力に対応でき、非同期の送受信も簡潔に扱えるなど、非常に強力で柔軟な記述が可能である。その一方で、スクリプト言語の特質を生かすため、ストリームはOrgelのように静的に宣言せず動的生成する方法をとり、マルチキャスト/ユニキャスト、テキスト/バイナリといった細かい挙動を指定できるようにした。さらに、ファイル入出力と同様な記法を取り入れ、最小限の文法変更でストリームを扱えるように設計することで、習得が楽というスクリプト言語の利点も生かせるようにした。 本拡張を実装し性能評価を行った結果、マスタースレーブ方式の動的負荷分散を簡潔に記述できるなど、実現した言語仕様が有用であることが確認できた。また、16台構成のPCクラスタでペントミノを実行し14.1倍という高い並列性能が得られた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 大野和彦, 山本繁弘, 岡野孝典, 中島浩: "プロセスネットワークを宣言的に記述する並列言語"情報処理学会論文誌ハイパフォーマンスコンピューティングシステム. Vol.42 No.SIG12. 95-110 (2001)
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[Publications] 田中孝太郎, 大野和彦, 中島浩: "Amaterous:経路選択法による高性能並列ルータ"情報処理学会論文誌. Vol.42 No.4. 732-744 (2001)
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[Publications] Shigeru Imafuku, Kazuhiko Ohno, Hiroshi Nakashima: "Reference Filtering for Distributed Simulation of Shared Memory Multiprocessors"Proc.34th Annual Simulation Symp.. 219-226 (2001)
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[Publications] 外崎由里子, 中田尚, 大野和彦, 中島浩: "並列スクリプト言語(Perl)+の実装と設計"並列処理シンポジウムJSPP'02. (発表予定).