2000 Fiscal Year Annual Research Report
モバイルコンピューティングによる講義資料配布支援の実現
Project/Area Number |
12780320
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
西村 俊和 立命館大学, 理工学部, 助教授 (00273483)
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Keywords | モバイルコンピューティング / モバイルエージェント / 資料配布 / 講義資料 / 揮発 / 動機付け / 複製禁止 / 使用履歴 |
Research Abstract |
モバイルコンピューティングを利用して電子的な講義資料を配布するシステムを実装し、実際の講義に適用してその効果を実験によって得た。通常、講義資料は印刷物等であり、フォトコピー等複製が可能である。しかし、複製が容易なことは(1)教育目的で著作物を配布した場合、資料の広範囲な流出は元著作者の権利を侵害する恐れがある、(2)受講者の主な目的が講義単位取得であった場合、出席意欲をそぐ可能性がある、等の問題点を持っている。電子的な資料は印刷物よりもより一層容易に複製が可能であるので、これらの問題点を無視できない恐れがある。本システムでは、モバイルエージェントに資料を封じ込めることにより、資料を作者の意図通り操作することを可能にしている。特に受講者の動機付けのため、(1)自己の複製を検出する資料複製禁止機能(2)放置資料を徐々に劣化させていく資料揮発機能(3)複数の劣化資料の内容を互いに補完して復元を行う資料復元機能の3機能について、大学の講義において実験を行った。受講者にシステムを用いて資料を配布し、事前アンケート・事後アンケートおよびシステム使用の履歴を得て、使用履歴を解析した。資料を得た受講者は大きく二タイプに分類され、それぞれ資料を長期間放置したグループ、頻繁に資料を参照して劣化をほぼ完全に防いだグループとなった。前者のグループの存在は、資料配布が出席意欲をそぐ可能性を示唆している。一方、後者のグループの存在は、資料揮発機能によって復習への動機付けが可能であることを示している。また、多数の受講者が資料揮発あるいは資料参照のいずれかに分類されたことから、資料複製禁止機能は有効であったと思われる。しかし、ごく少数ながら複数人が封じ込められた資料の開放を試みており、資料に対する受講者の要求が大きいこと、また実現システムには高い保安性が要求されることが判明した。
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