2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12780344
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
小池 則満 愛知工業大学, 土木工学科, 助手 (50293741)
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Keywords | 防災計画 / 傷病者搬送計画 / 震災 |
Research Abstract |
災害が発生した場合に、傷病者がどのような基準で医療機関を選択して行動するかを明らかにすることは、防災計画を策定する際の重要な情報になると考えられる。そこで本研究では、阪神・淡路大震災における傷病者の行動特性を明らかにするための調査分析を行った。 具体的には、文献調査および医療機関への聞き取り調査によって、兵庫県西宮市の震災当日における医療機関への来院傷病者数を推計した。次に市域のゾーニングを行い、地区ごとの発生傷病者数を推計し、これらのデータを用いて、高架構造物の倒壊、傷病度、移動距離、搬送手段を考慮した傷病者行動モデルを構築した。なお、計算には表計算ソフトExcel(Microsoft社)を、プログラム言語にはVBA(Visual Basic Application)を用いた。 その結果、比較的高い精度で各医療機関へ来院する傷病者数を予測することが可能となった。また、本モデルは傷病者の移動距離が主要なパラメータとなっており、従来から言われている「傷病者はより近い医療機関を選択する」という傾向を裏付ける結果が得られた。さらに、本モデルを他都市へ適用し、高架構造物の倒壊による傷病者行動への影響を予測するとともに、都市構造の違いから生じるいくつかのモデル上の問題点を明らかにした。 今後の課題としては、他都市へ適用する場合の補正方法を提案すること、西宮市における震災当日の被害状況をより詳細にモデル式に取り込んで分析精度を向上させること、医療機関の対応能力を超えた傷病者を後送する搬送システム開発への応用、リスクマネジメントの概念を用いた評価などが挙げられる。
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