2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12780371
|
Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
鈴木 肇 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 助手 (20260044)
|
Keywords | 水素 / タンタル / ニオブ / 超透過現象 / 核融合 / プラズマ / リサイクリング / 排気装置 |
Research Abstract |
核融合装置では、強磁場、高温下で働く水素ポンプが必要とされる。メンブレンポンプはニオブ、バナジウム、タンタル、パラジウムなどの金属が示す超透過現象を利用した壁ポンプであり、高効率の排気能力があることがわかっている。過去には最適化された条件下でのデータは多く取られ、最近では核融合装置を想定した必ずしもクリーンとは言えない条件下での動作実験が行われてきている。また大型ヘリカル装置など、実機のパラメータを考慮した検討を行っている。核融合科学研究所でも、これまで多くの実験が行われてきたが、基礎データのそろったニオブを用いた実験が主であった。ニオブの欠点は水素脆化の問題である。ニオブメンブレンが内部に大量の水素を蓄えたまま室温に冷却されると相転移が起こり強度が劣化してしまう。タンタルにも同様の問題があるが、相転移の温度が低いためその点は有利であると考えられる。そこで、今回はタンタルの超透過現象を用いたメンブレンポンプの開発の検討をおこなった。 昨年度は、実験装置の健全性と参照データを取るために、これまで経験のあるニオブを用いて実験をおこない、データを収集した。平行してタンタルのポンプの設計及び製作を行った。その際自然状態でタンタル内部に蓄積された水素を過熱することで、タンタルが内部に大量の水素を蓄積することが確認された。それを受け、今年度はポンプとしての動作確認を行った。ニオブでの実験装置と同等のものをタンタルで製作し、同じ真空容器、計測装置を用いて、アトマイザーで作られた水素原子の叩き込みによる実験で、タンタルでも水素の排気が可能であることを確認した。ニオブとの細部での違い等は現在解析中である。 また、昨年度の研究を受け、本年度は核融合研の大型ヘリカル装置内部にニオブ板を設置し、通常のプラズマ運転下での装置の健全性について調査した。ニオブは水素を蓄えたまま、室温で長時間放置すると水素脆化によってぼろぼろになることが知られている。今回は大型ヘリカル装置実機に設置してあるため故意に破壊を促すような実験は行わず、実験の終了時、及び開始前に加熱による水素のガス出しを行い脆化を防ぐ運転を行った。その結果、約五ヶ月に渡る運転でも装置の健全性に問題は発生しなかった。このオペレーション条件の決定には、昨年度のニオブによる実験のデータ及びそれ以前のデータが役立った
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] A.Busnyuk, Y.Nakamura, Y.Nakahara, H.Suzuki, et al.: "Membrane bias effects on plasma-driven permation of hydrogen through niobium membrane"Journal of Nuclear Materials. 283-287. 1297-1301 (2001)
-
[Publications] Y.Nakamura, S.Sengoku, Y.Nakahara, H.Suzuki, et al.: "Deuterium pumping experiment with superpermeable NB membrane in JFT-2M tokamak"Journal of Nuclear Materials. 278. 312-319 (2000)
-
[Publications] Y.Nakamura, N.Ohyabu, H.Suzuki, et al.: "Development of divertor pumping system with superpermeable membrane"Fusion Engineering anfd Design. 49-50. 899-904 (2000)
-
[Publications] 中原 由紀夫: "ニオブと水素原子の相互作用を利用した水素排気法の核融合実験装置への適用に関する研究"総合研究大学院大学博士論文. (2002)