2000 Fiscal Year Annual Research Report
伊勢湾下層に形成される貧酸素水塊の分布、変動に及ぼす流動構造の影響
Project/Area Number |
12780393
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
笠井 亮秀 京都大学, 農学研究科, 助手 (80263127)
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Keywords | 貧酸素 / 流動構造 / 中層進入 / 伊勢湾 |
Research Abstract |
本研究では、毎年夏季に大規模な貧酸素水塊が発生する伊勢湾を対象として、貧酸素水塊の変動の実態、湾内下層の密度構造および流動構造、流れが貧酸素水塊の形成や維持に及ぼす影響、の3点を解明することを目的としている。 今年度は、6月以降毎月2回、湾内を縦断する測線において、水温・塩分・溶存酸素濃度などの観測を行った。また、三重県水産技術センターが毎月伊勢湾内の広い範囲で定線観測調査を行っている。これら2種類の観測結果を組み合わせることにより、1月以下の短い時間スケールでの流動構造と貧酸素水塊の短期的な変動の関係を明らかにした。 得られた主な結果は以下のとおりである。 1)大潮-小潮周期に伴って伊良湖水道の混合強度が変化する。そのため、伊良湖水道における成層状況が変わる。すなわち、大潮期にはよく混合されており、小潮期には成層している。 2)大潮期には伊良湖水道下層の海水の密度が、伊勢湾内下層の密度よりも軽くなるため、外洋系水は中層に進入する。一方小潮期には伊良湖水道下層の海水の密度が、伊勢湾内下層の密度よりも重くなるため、外洋系水は底層に進入する。 3)酸素を豊富に含んだ外洋系水がどの層に進入するかによって、湾内の酸素濃度の分布が短期間で変動する。中層に進入する大潮期には、湾内下層の広い範囲に貧酸素水塊が広がる。一方底層に進入する小潮期には、貧酸素水塊は湾奥に押しやられたり、一部が中層に浮いたりして、中層貧酸素水塊を形成する。
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Research Products
(1 results)