2001 Fiscal Year Annual Research Report
レーザーアブレーション/ICP-MSによる環境大気中有害金属の高感度分析法の開発
Project/Area Number |
12780398
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
成田 祥 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (60317295)
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Keywords | レーザーアブレーション / 誘導結合プラズマ質量分析 / 大気粉塵 / 有害金属 / 迅速分析 |
Research Abstract |
従来の大気粉塵中の有害金属の分析は、放射化分析や蛍光X線分析に代表されるように、分析の前処理に時間がかかり、分析に使用する実験原子炉の老朽化等の問題があり、迅速かつ高感度な新たな分析手法の開発が望まれていた。 本研究では、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)にレーザーアブレーション(LA)を接続したレーザーアブレーション/誘導結合プラズマ質量分析(LA/ICP-MS)による新しい大気粉塵中有害金属の高感度分析法の開発について検討を行った。 ICP-MSは横河アナリティカルシステムズ(株)製Model PMS 2000を使用し、LAは日本電気製Nd : YAGレーザー装置(波長:1064nm)SL120F.Yを同社製加工工学系ユニットSL213C/Dを用いた。本装置を用いて、フィルター上に捕集した大気粉塵中の有害金属を効率よくレーザー光で溶発・気化するレーザー光の照射条件とICP-MS分析の最適条件の検討を行った。測定金属としては、大気粉塵の主用発生源の指標となる金属や毒性、大気中での濃度などを考慮して、Na,Al,K,Ca,V,Mn,Fe,Zn,Pb,Ti,Cr,Co,Ni,Cu,As,Se,Ag,Cd,Sb,Ce,Wの21金属を選択した。 レーザー光の照射条件の最適化及び、ICP-MS分析の最適条件を検討した結果、フィルターに捕集した大気粉塵1試料あたり数分で有害金属の分析が可能となり、また、測定対象とした大気粉塵中の有害金属21元素の繰り返し精度は10%程度に抑えられ、良好で迅速な分析が可能となった。さらに、本法における検出限界値は従来用いられていた放射化分析法に比べて1桁〜2桁以上も低く、非常に高感度に分析できることが判った。 よって、本研究によりLA/ICP-MSを用いた大気粉塵中の有害金属の分析を前処理を行うことなく高感度かつ迅速にできることが判った。
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